お誕生日プレゼント
先生が四代目に就任してから、
初めてのカカシの誕生日が間近に迫っていた。
カカシが、任務を終え、火影室に報告に行くと、四代目は、高く積まれた書類の山に埋もれながら、
たいして目も通さず、事務的に判子をバンバンと押していた。
「カ〜カ〜シ お帰り〜!
お疲れ様!怪我はしてないね?」
「只今、戻りました。 今日のAランク任務は・・・」
「あぁ、もういいよ!
カカシが任務失敗するはずないし、後で報告書読むからさ、そこに置いといて」
「はぁ・・・」
(って、読むはずないと思うけどな・・・)
「それよりさ、カカシ、もうすぐ誕生日でしょ!
プレゼント何が欲しい?
今日一日ずっと考えてたんだけど、中々思いつかなくって・・・」 四代目は、満面の笑顔で、カカシに語りかけた。
「えっ・・・でも・・・オレ、別に欲しいものなんてないし・・・」
「ダメダメ!何でもいいとかじゃなくて、ちゃんと考えてよ〜!」
そう言われて、カカシはしばらく考えていた。
ふと、何か思いついたようだが・・・
「あぁ、一つ、一つだけ、欲しいものが・・・
でも・・・やっぱ・・・きっと、無理・・・」
「そんなこと言わないで、ほら、言ってごらん!
カカシのためなら、どんな無理でもするからさ!
木ノ葉にないものなら、世界中回ってでも、探してくるよ〜!」
四代目は、目をキラキラと輝かせて、カカシを見つめた。
「えっと・・・じゃぁ・・・ほら、今年から、誕生日には、
休暇が取れるようになったでしょ。
だから・・・そのぉ・・・
オレ、先生の時間が欲しいです!」
カカシは恥ずかしそうに、下を向きながら、ぽそっと言った。
「でも、先生、もう火影なんだから・・・
休み取るなんて出来ないよね・・・」
「ぎゃぁぁぁ〜そうだ!そうだよ、カカシ!
お誕生日休暇じゃん!忘れてたよ!
先生、夜のことしか考えてなかったし〜!?」
四代目は、大きな声で叫びながら、
思わずカカシをむぎゅっと抱きしめた。
四代目が、火影に就任してから、
日頃の激務に感謝の気持ちを表したいと、せめて、誕生日くらいはゆっくり休ませてあげたいとの思いで、
新しく誕生日休暇なるものを作ったのだ。
と言うより、自分が休みたかったという説もあるが・・・
「もっちろん、先生も休むよ〜!
そっか、一日、時間はたっぷりあるんだ!
嬉しい〜!
カカシ、どっか、遠出しようよ!
久しぶりに温泉でも行こうか?」
「先生、本当に休めるの?
みんなに何て言って休むの?」
「そんなこと、カカシが心配することじゃないよ!
先生だってさ、毎日、睡眠時間削って、仕事してるんだ。
たまには、過労でぶっ倒れたとか、
熱があるとか、お腹が痛いとか、何とでもなるさ!」
そう言って、四代目はパチリとウインクして笑った。
「うん!そうと決まったら、ちゃんと計画立てなくっちゃね!
わぁ〜楽しみ〜!
あぁ、今日は、もう仕事や〜め〜たっと!
帰ろう、カカシ!
ウチに帰って、ご飯食べながら、ゆっくり考えようね〜!」
四代目は、足取りも軽く、スキップをしながら、
鼻歌まじりで、ドアの方にさっさと向かって行った。
「ちょっ、先生!
この書類の山、まだこんなにいっぱい残ってるよ〜いいの〜?」
「明日、明日!カカシ、ご飯何食べよっか?」
「あ〜あ、知〜らないっと」
(でも、先生、本当に休み取ってくれるのかな・・・?
いいのかな・・・きっと、みんなにバレちゃうよな・・・)
「カ〜カ〜シ 早くぅ〜!!」
廊下から、四代目が大声で呼んでいる。
(先生・・・ありがとう・・・!
オレだけの・・・
先生の時間・・・
最高のプレゼントだよ!)
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2006/9/22