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真紅の火影服


まだ、夜明け前だというのに、ベットの横の窓ガラスをコンコンと突く音で、カカシははっと目が覚めた。
 
「うわぁっ 先生の忍鳥だ!」                     
慌てて、窓を開けると、パタパタと忍鳥が飛んで入って来て、カカシの掌にそっと乗った。
足首に巻かれた小さな紙を広げると、
 
「カカシ 大至急 火影室に来るように!」
と、書きなぐったような汚い文字で書かれていた。
カカシは、大急ぎで着替えて、火影室に飛んで行った。
 
「カカシです」
 
ドアを開けると、そこには、燃えるような真紅の火影服を着た四代目が朝陽を浴びて立っていた。
その神々しい姿に、カカシは思わず息をごくりと呑んだ。
 
(センセェ・・・)
 
「カッカッシィ〜! ごめんネ〜!
こんな朝早く起こしちゃって〜」
 
振り返った四代目は、にこりと笑って、カカシを向かえ入れた。
部屋には、自来也とシカクが、難しい顔をして立っている。
緊迫した空気が流れる中、四代目だけが、笑顔でカカシに、
「こっち、こっち!」
と、手招きしている。
 
「カカシィ〜 実はね、急な任務が入っちゃって、オレと自来也とシカクで行ってくるからネ!
今回は、ちょっと面倒なやつでさ、三日位はかかっちゃうかもしれないんだ。
だ〜か〜ら、行く前にどうしてもカカシの顔みたくなっちゃって・・・
まだ寝てると思ったんだけど、起こしちゃってごめんネ!」
 
四代目は、カカシをむぎゅっと抱きしめて、おでこにちゅっと、キスをした。
 
「センセェ・・・」
 
カカシは、自来也とシカクの表情から、この任務の難しさを直感していた。
何より、火影自ら直接現場の任務に出るなんて、普通では、まず有り得ないことなのだ。
しかも三日もかかるなんて・・・
 
(センセェ オレも連れて行ってください・・・)
 
カカシは、そう言いたかったのだが、言葉に出せずに呑みこんだ。
それを、すべて見抜いたかのように四代目は、
 
「カカシ、自分も連れて行ってって言いたいんでしょ?
でもね、今回は、カカシを連れて行く訳には行かないんだ。 だいじょ〜ぶ!
自来也とシカクが一緒だから、心配しないでネ!
あ〜でも、久々の実践任務で張り切りすぎちゃって、チャクラ切れになると困るから、
カカシのチャクラをオレに注入して〜!」
 
と、言って、カカシを抱きしめたまま、カカシの天使のようなほっぺにすりすりしている。
 
ずずっと近寄った自来也が、四代目の頭をパシっと叩いた。
 
「いい加減にしろ!アフォ」
 
「だってさ〜 だってさ〜 オレがチャクラ切れになって、困るのは自来也とシカクだよ〜
じゃぁ自来也、オレが倒れたらおぶってくれるの〜?」
 
二人のことはお構いなく、、四代目はカカシを抱いたままだ。
 
「ったく、早く仕度しろってぇの!
それ以上したら、マジで螺旋丸当てるぞ!コラッ!」
 
「ん〜もう、あと10分!10分で済ませるからさ!待ってよぉ〜」
 
再び、自来也が四代目の頭をバシバシと叩いた。
 
「痛っぇぇ〜分かったよ! すぐ仕度するから・・・」
 
四代目は、頭を抑えながら、ほっぺをぷくりと膨らませた。
 
(まっ、こんなところで急いでするより・・・帰ってからゆっくりと・・・)
  
「ねぇ、見て、見て!カカシ!
この火影服いいでしょ〜!
オレのおニューの勝負服だからね〜!」
 
四代目は、するりと火影服を脱いで、カカシに見せた。
 
「リバーシブルなんだよ!ここ見て!」
 
裏は白地で、背中に真紅の大きな文字で、
 
「カカシ命」
 
と、刺繍がされていた。
 
Vサインをして、誇らしげにウインクする四代目。
思わず真っ赤になるカカシ・・・
 
(センセェ・・・これ・・・目立ちすぎです・・・)
 
「えへへ・・・いいでしょ〜!
こうして、カカシを背負って戦えば、怖いものは何もないよ!
お願い、カカシ!ここに手を宛てて、カカシのチャクラを注いで!」
 
「ったく、見てられねぇな〜 
カカシ、このバカヤロウに、チャクラを思いっきりブチこんでやれよ!
自来也様、オレ、外で待ってます」
 
呆れ顔のシカクは外へ出て行った。
 
カカシは言われるままに素直に、
「カカシ命」の文字に手を宛て、チャクラを流し込んだ。
 
「OK!ありがとう!これで、バッチシ!
んじゃぁ、カカシ、行ってくるね〜!」
 
そして、四代目は、勢いよく、真紅の火影服をぱっと羽織った。
 
「先生、行ってらっしゃい!」
 
頬を赤く染めたまま、カカシは四代目を見送った。
 
 
その後、カカシのチャクラが効いたのか、四代目は、もちろんチャクラ切れになることはなく、
真紅の火影服を翻し、敵をバッサバッサと倒し、
予定の三日もかかることなく、早々に任務を終えることができたのだ。
 
 

                                                                              2006/11/14

直線上に配置

                             
                        いちょうさんに絵茶で描いていただいた、ステキな4様のイラストを見て・・・
                              あっきぃには、「カカシ命」の文字が見えたのです・・・!?  
                        本当は、もう、4様の背中が切なくて・・・
                        うるうるきちゃう絵なのですが・・・  
                        なぜか、あっきぃが書くと、ギャグに・・・!?
                        いちょうさん、ありがとうございました! 

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