もしも四代目が○○だったら・・・
火影室には、今度発売されるゲームの最終打ち合わせに、二人の製作スタッフが訪れていた。
木ノ葉の里で発売されるキャラクターグッズには、火影の決済が必要なのだ。
「それで、今回の予約特典は何?」
「はい、ナルト君のカードとストラップです」
スタッフは、見本を四代目に見せた。
「ふ〜ん たしか、去年もナルトの人形だったよね?
その前は、巻物風の手提げ袋だったし・・・」
四代目は、カードとストラップを手にしながら、スタッフを見た。
「君達さ、ファンの心理って考えてるの?
こういう商売ってさ、お客様あってなんぼだろ?」
四代目の目が鋭く光り、いつもの穏やかな四代目とは違い、口調も厳しくなっている。
「はぁぁ・・・」
スタッフも返す言葉に戸惑い、お互いに顔を見合わせた。
「では、どのようなものがよろしいのでしょうか?」
「今度のゲームは、傀儡一族との対戦なんでしょ? だったら、やっぱ傀儡人形とかがいいんじゃない!」
「傀儡人形ですか?」
「そう、まぁ、ナルトは主役だからいいとしても、君達 人気投票の総合1位って誰だか知ってるの?」
「えっ、そっ、それは・・・ナルト君じゃないんですか?」
「何〜 知らないの?それちょっと酷いんじゃない!
カ ・ カ ・ シ だよ!!!」
四代目は、どこか誇らしげに言った。
「だからさ、ナルトとカカシの傀儡人形!
これで決まりだね!」
「傀儡人形ですか・・・???」
スタッフは傀儡人形のイメージが今ひとつ分からなかったようだ。
「う〜ん 何て言ったらいいかな・・・
本当の傀儡はチャクラの糸で操るんだけどさ、操り人形みたいにな感じで、カカシを自由に動かして遊ぶの!
うわぁ〜楽しそぉ〜! いいよね、絶対!ナイスだよ!」
四代目は自分で想像して、一人で興奮している。
(このお方はいったい・・・???)
「それから、人形は顔が命だからね!
可愛い顔にしてよ!」
「はっ、はい! わかりました!
2〜3日 お時間ください」
そして、3日後、製作スタッフは、試作品を持って、再び火影室を訪れた。
「火影様、 いかがでしょうか?
こちらが完成した状態のものです。
ちょっと、予算の関係で紙になってしまいましたが・・・」
「うん いいんじゃない!!」
早速、四代目はカカシの傀儡人形を持って、眺めている。
「最初は、どうなっているの?」
「はっ、このように1枚のシートを切り取って、糸を通して作っていただくのですが、
アカデミー生くらいでも作れるよう、簡単なものにしましたので、
問題はないかと思いますが・・・」
「そっ、じゃぁ、それ貸して。オレ作ってみるから」
「へっ?火影様がお作りになるんですか?
「だって、本当に簡単かどうかちゃんと調べないとね!
それに、こういう物は、作る過程も楽しまなくっちゃ!」
そう言って、四代目は、カカシを切り取り始めた。
説明書を見ながら、穴にプラスチックのパーツを埋め込み、順番に糸を通して、完成!
のはずだったが・・・
四代目は、どこでどう間違ったのか・・・???
「思ったよりも難しいし・・・」
「えぇっ? そっ、そんなことは・・・」
(6歳のアカデミー生で、ちゃんとテストは済ませてあるんだ・・・)
とも言えず・・・
スッタフの背中に嫌な汗がたらりと流れた。
どうやら、四代目は手先が不器用で、糸を通すことに手間取っているようだ。
「あのぉ・・・ お作りしましょうか?」
スタッフは申し訳なさそうに声を掛けると、
「いいの!!オレが作らなきゃ意味ないじゃん!!」
と、 四代目は、大声をあげた。
少しイラついていたようだが、それでも根気よく、丁寧に、
「カカシ もう少しだから 待っててね」
などと、ぶつぶつひとり言を言いながら、黙々と作業を続けている。
「出来た〜!!!
わぁ〜 可愛い〜!どれどれ動くかな!?
ん? 上級編は足も動くのか・・・
じゃぁ、足にも・・・」
まるで、子どもの様に、無邪気に遊んでいる四代目。
と、そこに、コンコンとドアをノックする音がして、ちょうど任務を終えたカカシが帰って来た。
「カカシ、只今、戻りました」
「カカシィ〜 お帰り!見て見て!
今、カカシ傀儡人形が完成したところだよ!
ほら、こうやって動かすの!」
誇らしげに、カカシ傀儡人形を動かして見せる四代目。 「カカシ傀儡人形・・・???」
カカシは、何の事だかさっぱり分からず、隣にいた製作スタッフを思わず見た。
「こっ、こんにちは、カカシ君。
今回発売されるゲームの予約特典に、カカシ君の傀儡人形を付けさせていただくことになりましたので」
「火影様にも、喜んでいただいたようですね!
これで、決定ということでよろしいでしょうか?」
「うん、もちろんだよ!
あっ、それからさ、今回はオレ出てないんでしょ?
その辺のところ、ちょっと不満なんだけど。
まっ、許してあげるから、その代わりに特別にオレの傀儡人形も作ってくれる?」
「えぇっ? 火影様の傀儡人形ですか?」
「そう!だって、カカシの分がなくっちゃ可哀想でしょ!
やっぱ、オレもいなくっちゃね!カカシ?」
(はぁぁぁ・・・オレが先生の傀儡人形で、一緒に遊ぶんですかぁ・・・!?)
しかし、カカシは本心は決して言葉は出さず、ニッコリ笑って、
「はい、先生!オレも先生の傀儡人形欲しいです!」
「じゃぁ、頼むよ!それから、このことはもちろん内密にね!」
そう言って、四代目は、スッタフにウインクした。
「はっ、かしこまりました」
「カカシィ〜 ゲームやろう!」
「先生、オレの報告書は?」
「あぁ その辺に置いといて!
うわぁ〜!“カカシ外伝”ってカカシが主役だって!
君達、ご苦労さん、もういいよ」
「はっ、はい、ありがとうございました」
「どうせ、決済下りないんなら、次からは、最初からカカシグッズでいこうな・・・」
「だな・・・」
こうして、呆れ顔の製作スタッフは火影室を後にした。
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2006/11/24