師弟の絆 18
満開の桜が爛漫と咲き誇る春、穏やかな晴天に恵まれて、カカシはサクモとママに手を繋がれ、アカデミーの門をくぐった。
入学式で校長先生の挨拶を聞いていたカカシの背丈は、並んでいる子どもたちの肩くらいしかない。 次の日から、教科書を入れるためにサクモが買ってあげたちょっと大きめなリュックを背負い、カカシは張り切ってアカデミーに通い始めた。 苛められているのではないだろうか、泣かされてはいないだろうかと、心配で心配でしょうがないサクモだったが、当の本人は、そんな父親の心配もよそに、「あのね、父さん、今日はね」と、毎日習ったことを楽しそうに報告している。 アカデミーに入学してから、パパ・ママから、父さん・母さんと呼び方まで変わった。 同じクラスの子どもたちは、明らかに自分達より小さいと思われるカカシが何で通っているのか、最初は不思議に思ったが、授業が始まったら、皆、納得した。 子どもは子どもなりの勘が強い。 チビでも、自分たちより出来るということはすぐに分かるものなのだ。 遊びにも対等に扱うし、年下だからと甘やかすこともしない。 しかし、女の子の方はどちらかとうと、男子達とは違い、母性本能丸出しで、カカシ君はまだ小さいんだからと、あれやこれやと手をだしては甘やかしているようだ。 カカシは、あっという間に、クラスの人気者になっていた。 アカデミーのクラスは習熟度別のカリキュラムが組まれていて、一学期の終わりにカリキュラムテストを行い、合格すれば次のクラスへ。 不合格ならもう一度そのクラスに留まるというシステムになっている。 入学の年齢も様々で、尚且つ、忍術に関しては、普通の勉強以上に習得の差が大きいから、無理はさせないで、着実に次のステップに進めるような仕組みになっているのだ。 何事においても基礎基本はしっかりと定着させなくてはならない。 しかし、里を取り巻く戦況の変化から、実力のあるものは早く下忍として、里のために働いてもらいたいとの思いもあり、本来なら卒業までに六年程かかるところ、年々短くなってきているのが現状だ。 それでも、卒業試験だけは厳しくするようにと、アカデミーを任されている校長は、安易に幼い下忍を多く卒業させることはしなかった。 そんな中、カカシだけは、特別だった。 受け持った担任も今までにこんな子は見たことないと只驚くばかりで、すでに、下忍というレベルは当に超えて、今、中忍試験を受けさせても合格するのではないかとの高い評価だった。 もちろん、カリキュラムテストもすべて満点で、すぐに上のクラスへと、いうより、それではもったいないと、さらに上の上のクラスへと飛び級させたのだ。 カカシは、ミナトとの約束をきちんと守っていた。 授業には楽々ついていけていたし、皆に可愛がられていたので、泣くようなこともなく、楽しくアカデミーに通っていた。 周りは皆年上だが、友達もたくさん出来た。 こうして、カカシは二学期の終わりには、さらにその上の上のクラスに一気に飛び級をして、三学期にはついに最上級のクラスに入れられてしまったのだ。 「カカシ〜凄いね〜もう今度のテストに合格すれば、いよいよアカデミーの卒業試験だよ!」 「ぼく、もっと、アカデミーでお勉強したいよ」 「下忍になっても、すぐに難しい任務をやるわけじゃないんだよ。 お使いや、農作業のお手伝いとか簡単な任務をお昼ごろくらいまでやって、それから午後は修行をする。 まだまだ、覚えなくてはならないことはたくさんあるからね。 任務をやりながら、勉強も修行も両方していくんだ。 結構大変だよ〜カカシ大丈夫かな?」 「大丈夫だって!アカデミー卒業したら、今度はミナトがぼくの先生になってくれるんでしょ?」 「う・・・うん、そうなれたらいいね・・・」 「え〜ミナトが先生になるんじゃないの?」 「ま・・・まだそうと決まったわけじゃないんだよ・・・」 「ぼく、テストがんばるから!ミナトもぼくの先生になれるようにがんばってよ!」 「そうだね!オレもがんばるよ!」 ミナトはにっこりと笑って、カカシの頭をくしゃくしゃと撫でた。 |
2009/6/25