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お正月といえば・・・   1
   

穏やかな初日が昇り、天も寿ぐ元朝を迎えた。
大晦日に、いつもの3倍もの仕事をした四代目とカカシは、ゆっくりと寝て、目が覚めたのは、もう10時をまわっていた。
今日から、水の国にある自来也の別荘で三が日を過ごすことになっていたから、お節料理は何も用意していなかったので、朝ご飯は、簡単にお雑煮だけで済ませた。
それから、二人は着物を出して、着る準備をした。
 
「カカシィ〜 おいで〜 着物着せてあげるね!」
 
普段カカシは、着物なんてめったに着る機会はないのだが、今年は、火影になって初めてのお正月だし、
四代目は自分とカカシの二人分新しく用意したのだ。
 
「帯、これくらいかな?苦しくない?」
「うん、大丈夫」
「はい、出来上がり。うわぁ〜 可愛い〜! カカシはやっぱ何着ても似合うな〜!
うふふ・・・これね、実は色違いで、お揃いなんだよ〜!」
 
カカシは着物のことはさっぱり分からなかったが、そう言われて、よ〜く見ると、確かに地模様はお揃いだった。
特別に織ってもらったもので、かなり高価な着物になってしまったが、四代目はカカシのためなら、お金を惜しまない。
カカシが聞いたら、目を丸くしてびっくりするような額だが、もちろん、そんなんこと四代目は言わないし、カカシを着せ替え人形のように洋服を買ったりお洒落させるのが四代目の趣味でもあるのだ。
カカシは、袖を振りながら、先生とお揃いってことに素直に喜んでいた。
 
「えぇ?そうなんだ〜嬉しいな〜ありがとう、先生!
じゃぁ、次は先生の番。帯の結び方は分からないから、教えてね」
 
四代目は、本来なら火影として、元旦は正装して新年の挨拶に来るお客様を迎えなくてはならないのだ。
しかし、今年は、仕事初めは4日とするから、挨拶も四日で構わないと丁重にお断りしていた。
 
「先生、どう?」
「ん・・・ もうちょっと、きつく、ぎゅっとネ!」
カカシも不慣れな手付きで、一生懸命着付けをしている。
 
「じゃぁ、このくらい?」
「うん、ナイスだよ、カカシ!」
 
四代目は、帯をパンパンと叩いた。
 
「自来也に、術式の札は渡してあるから、お土産の日本酒持って、別荘まで一気に飛んで行くからね!
ご馳走が待ってるよ〜!」
  
一方、自来也とシカクは、大晦日から、別荘入りしていた。 
自来也は、作家としても成功し、任務の傍ら執筆活動も両立させていた。
だから、諜報活動と取材も兼ねて、一石二鳥の長期任務に出ることも多い。
その為、大陸各国に拠点としての別荘を持っているのだ。
今年のお正月は、四代目のお陰で、ゆっくりできるからと、大晦日の午後から、一足先に、水の国の小島のリゾート地にある別荘へと来ていた。
晩には、料理の弟子、シカクも到着した。
 
自来也は、料理の腕も一流で、大陸中を回っているから、各国の料理にも詳しい。
弟子のシカクも、自来也に仕込まれて、料理の腕を上げていた。
シカクは、元々薬剤の調合を専門としているから、細かいことは得意で、料理のセンスも繊細で良いものを持っている。
四代目とは、幼馴染で、いつもツルんでいたから、自来也にも可愛がられていた。
四代目は、料理の方はさっぱりで、ひたすら食べるのが専門だったから、自来也は、シカクを弟子として、鍛えていたのだ。
 
もちろん、カカシも料理の方では、自来也に弟子入りしている。
サクモが亡くなった直後は、自来也と四代目とカカシの三人で暮らしていた時期もあり、カカシにもしっかり料理は仕込んである。
カカシは何をやらせても器用なので、自来也から教わった料理は、一通り出来るようになった。
自来也の国外長期任務が増えて、四代目とカカシが二人で暮らすようになってからは、カカシが食事の仕度はすべてするようになったのだ。
自来也は、豪華な食材をたくさん仕入れていた。
 
「それにしても、すごい量ですね〜 いったい、何人くらい来るんですか?」
「あぁ、元旦は、あの大食いのアフォとカカシだけじゃよ。
後は、アイツが誰を呼んでいるのか、ワシは知らん。
お節は下ごしらえが、結構手間がかかるからな。
ワシ一人では、とても間に合わん。
大晦日から、呼び出して悪かったノォ」
 
「いやぁ、アイツのお陰で、ゆっくりさせてもらうんだから、このくらいは、どうってことないッス」
 
「ハハハ〜 まったく、思い切ったことしたもんだ。
さすがの三代目も、渋い顔してたがな。
こんなことあのアフォにしか出来ないってえの。
美味いもん食わせてやらねえとな」
 
こうして、二人が腕を揮った豪華なお節料理がたくさん用意された。
 
 

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