Sacred Pierce 完
オレは綱手様から貰ってきたキッドを持ってきて箱から滅菌された医療用の千本を開封し取り出した。
消毒液をたっぷりカット綿に含み、手鏡を見ながら、左の耳たぶに付けた。
「カカシ、この真ん中辺りにぶすっとね」
カカシにその場所を指し示して教えた。
「何か緊張するよ・・・ 先生・・・
痛そうだよ・・・ 大丈夫なの?」
「平気! 平気! 一瞬だよ!
カカシが怖かったら、じゃぁ一緒にね。
カカシは耳たぶしっかり押さえて」
オレはカカシの右手にそっと手をそえて握った。
「いいよ・・・」
カカシが大きく息をすって、ゆっくりと千本がオレの耳に刺さった。
チクリとした痛みが、やけに気持ちいいのはなぜだろう。
これで、カカシと繋がると思うと、それは神聖な儀式のようにも思えた。
「ん・・・ 大丈夫、 上手だよ・・・ カカシ・・・
そのまま・・・ ぐいっとね・・・」
千本が向こう側に突き抜けて、ゆっくり元に引っ張って戻した。
滲んだ血を消毒液で拭き取って、オレは銀色のピアスを挿した。
「ふぅ・・・ 大成功!
思ったより痛くなかったよ、どう? カッコイイでしょ〜」
オレは髪を耳に掛けて、ピアスをカカシに見せた。
「うん、先生、とっても似あうよ」
「じゃぁ、今度はカカシの番だよ。 すぐ終わるからちょっとだけ我慢してね。
あはは〜 何か子どもに注射するみたいな気分だね」
「もう、先生ったら・・・
これ位、オレだって大丈夫だよ。
先生に痛い思いされるのは慣れてるし」
「ひどっ・・・ カカシったら、よく言うようになったね〜
じゃぁ、痛くならないおまじないしてあげよっか?」 「えっ?」
オレはカカシの耳たぶをペロリと舐めた。
「オレ達の愛の儀式だからね。
痛くない・・・ 痛くない・・・」
と、カカシの耳元でそっと囁いた。
「ひぇっ・・・ もう・・・ 先生ったら・・・」
カカシは真っ赤に頬を染めた。
それから、消毒液をたっぷり塗って、千本を取り出した。
「ん! これでOK!
じゃぁ、カカシ、 い ・ く ・ よ」
カカシはそっと目を閉じた。
「っ・・・ せ ・ ん ・ せ ・ ぇ・・・」
突き抜けた瞬間、カカシは眉を寄せて、痛みに耐えながら、思わずオレの服を
ぎゅっと握り締めた。
千本をそおっとそおっと引き抜いて、カカシの耳たぶにゴールドのピアスを挿した。
「うわぁ〜 カカシィ〜 可愛いよ!」
カカシに鏡を見せようとしたら、カカシがゆっくりとオレの肩にもたれ掛かってきた。
「カカシ?」
「・・・ せんせぇ・・・ なんか・・・ クラクラ・・・ してきた・・・」
そして、バサっとオレ胸に倒れてきた。
「カカシ! カカシ! どうしたの? 大丈夫?」
「ん・・・ 何か耳たぶがじんじんしてきた・・・ 頭が・・・ ク・・・ ラ・・・」
オレはさっとカカシを抱き上げ、寝室に連れて行き、そっとベッドに寝かせた。
「カカシ、何か飲む?」
「ううん・・・ いらない・・・ 大丈夫だから・・・
ちょっとだけ、横にならせて・・・」
オレもカカシの隣に横になると、カカシが丸くなってオレの腕の中にするりと入ってきた。
オレはカカシの背中を優しく擦りながら、カカシの髪に顔を埋めた。
「ごめん・・・ カカシ・・・ オレの刺し方そんなに痛かった?」
「ううん、痛くなんかないよ。 謝らないで、先生。 オレこそごめん。
このくらいで倒れるなんて情けないね・・・
折角、先生がカッコイイピアス付けてくれたのに・・・」 「いいよ、カカシ、今日はもうこのまま眠りなさい」
「えっ・・・? だって・・・ 先生、いいの?
今日はイブなのに・・・」
カカシだって、この後先生がどうしたいのかくらい分かっているし、
もちろん自分だってそうなることを望んでいた訳だし。
「いいの、いいの! 無理しないで。
明日だってクリスマスなんだからさ、今日の分は明日まとめてたっぷりね!」
そう言って、オレはカカシのほっぺをつんつんと突いた。
「先生たっらぁ・・・」
カカシはほっぺをぷっくりと膨らませ、オレの胸に頬を摺り寄せてきた。
「そっだ、カカシ! オレがシルバーのピアスしたら、今日は“しようね”ってサインにしようかな〜 OKだったら、カカシもシルバーにして返事するとか」 「もう、先生のバカ! 返事も何もどうせオレに拒否権はないんでしょ?」
「えへへ〜」
「じゃぁ、オレがゴールドのピアスしたら、“今日は疲れてるから早く寝たい”って
サインにするよ?」
「えぇぇ〜 そんなの見たらちょっと悲しくなっちゃうかも〜」
それから他愛もない話で盛り上がった。
カカシも落ち着いたみたいで安心した。
「カカシ、ありがとうね。
今日は本当に嬉しかったよ。
バカみたいだよね・・・ オレ・・・
こんなことしなくても、オレとカカシは・・・
命の奥底で繋がっているって思ってるけど。
何か目に見えるものも・・・
形として残しておきたかったのかな・・・
欲張りでごめんね」
「先生・・・
オレだって、先生の気持ち何て言っていいか言葉に尽くせない程嬉しいんだよ。
お揃いのピアスだけでも、とっても嬉しかったのに。
その上飛雷神の術までプレゼントして貰っちゃって!
幸せ過ぎて・・・ どうしよう・・・ 夢見てるみたいだよ!
だから倒れちゃったのかもね」
そう言って恥ずかしそうに微笑むカカシが愛しくて堪らない。
オレはキラリと光るカカシのピアスにそっと触れ、オレとカカシの愛の証にキスをした。
「オレ達はずっと、ずぅ〜っと、繋がっているから。
カカシ、メリークリスマス!」
「メリークリスマス、せんせぇ・・・」
オレとカカシの愛の証・・・
二人の耳に、 イブの夜空に、
金色と銀色の星がきらきらと煌いた。
Merry Christmas!
A sacred pierce for you.
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2007/12/10