「ごめんね、カカシ。この位しないと、目が覚めちゃうしね」
来年の誕生日は、カカシに祝ってもらえるのだろうか・・・?
もしかしたら、今日が二人で過ごせる最後の誕生日になるかもしれないと思うと、
熱は治まることはなく、何度解き放っても、身体の芯から湧き上がってくる。
もっと、もっとと、
何度も求めて。
何度も繋がった。
大粒の汗をかきながら、
健気に応えてくれたカカシが愛しくてたまらない。
「カカシ・・・
オレはお前に何も残してやれないけど、
この封印術で・・・
また、会いに来れるんだ」
四代目はカカシの前に立ち、パジャマをそっと捲って、お腹の上で素早く印を組んだ。
「封印!!」
四代目の掌から蒼いチャクラが放たれ、カカシのお腹に細い糸のようになって吸い込まれていった。
カカシはびくともしないで、ぐっすりと寝ている。
「これでよし!ここにオレのチャクラを封印しておけば、大丈夫。
日付けは七年後のカカシの誕生日、二十歳になる日にセットしておいたからね。
カカシはどんな大人になってるかな?きっと、すごくカッコイイだろうな」
柔らかな銀色の髪を撫でながら、二十歳のカカシを想像する。
「二十歳のカカシへの誕生日プレゼント。カカシ、喜んでくれるかなぁ・・・?
びっくりさせちゃうと思うけどね、ま、オレらしくていいかも」
* * * * *
「先生ー!先生!大変!もうお昼だよーー!」
「うぅん・・・もうちょっとだけ〜」
「先生、起きてよ!」
「ふわぁ・・・」
カカシはぱっと四代目の布団を捲って、身体を揺すった。
「折角のお休みなのに、もったいないよ」
「ああ・・・うん、そうだね」
「ごはんの支度はもうできてるから」
「ん、お腹空いたかも。じゃぁ、ご飯の前に、カカシをいただこうかな〜」
「ええええ〜何それ?」
逃げようと布団から離れたカカシの身体をぎゅっと捕まえて、閃光のような速さで、布団に組み敷いた。
四代目の甘い拘束からは決して逃れられない。
カカシも観念したようだ。
「おはよう、カカシ」
ちゅっと、おはようのキスをする。
「お、おはようございます、先生」
「ごめんね、昨日は、無理をさせちゃったみたいだね、身体は大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」
四代目は、カカシのアンダーシャツを捲り、胸からお腹へと、そっと触れていった。
そして、封印したところを、カカシに気づかれないように、さり気なく確認しておいた。
(ん!封印の術式はうまく消えているな。これなら、カカシにも気づかれないだろう)
「あぁ・・・先生・・・ちょっ・・・うわっ・・・」
「ほら、カカシだって、朝からこんなに元気になってるじゃん!」
「だって、先生がこんなこと・・・するから・・・」
四代目の手が妖しげな動きでカカシを刺激する。
カカシは一瞬の内に身体全身に広がった甘い痺れに素直に従って、熱を放った。
それから、二人でさっとシャワーを浴びて、食事を済ませた。
「あ〜美味しかったよ、カカシ」
「先生、食べ過ぎだよ」
「だって、朝ご飯と昼ご飯と二食分だよ?いいじゃない」
「そうだ、食事が終わったら、先生に修行をつけてもらいたいな。
折角、時間が取れたんだし。里に帰ったら、オレ一人のために時間を作ってもらえないもの」
「そんなことないよ、カカシの修行のためなら、オレはいくらでも時間都合つけるから!
今日はね、カカシのチャクラ量がどれだけ増えてるかも、ちょっと測りたいんだ。
チャクラを使い果たすまで、とことんやるよ。覚悟してね」
「はい!」
「もし、今のカカシにできそうだったら、プレゼントのお礼に螺旋丸を教えてあげようかな〜」
「えー!本当に?」
「だから、カカシのチャクラ次第だよ。螺旋丸はチャクラの量もかなり消費するんだけど、それより、チャクラコントロールも繊細で難しいんだ。
オレも完全に使いこなせるようになるまでには、結構時間がかかったし、あの自来也先生でさえ会得には苦労したからね。
術そのものは写輪眼でコピーできるけど、消費チャクラが足りなかったら、まだコピーさせるつもりはないから。カカシは、絶対に無理するってわかってるからさ」
「早く!先生、行こう!」
待ちきれないという様に、カカシは四代目の手を引いて、走り出した。
それから外に出て、小一時間程、組み手をして汗を流した。
「ん〜もういいかな。カカシ、螺旋丸を教えてあげるよ」
カカシのチャクラ量を判断して、四代目は螺旋丸を教えること決意した。
「うれしい!先生、オレにもできる?」
「そりゃ、カカシの努力次第。
こればっかりは、一日じゃ無理だよ。じゃ、写輪眼を発動してコピーしてね」
「はい!」
カカシはの写輪眼がくるくると回り出し、コピーの準備が整った。
「螺旋丸!」
四代目は螺旋丸を掌に乗せて、カカシの前に差し出した。
蒼白いチャクラが高速で回転している様は、何度見ても綺麗だとカカシは思う。
「螺旋丸の凄いところは、印を結ばなくてもいいから、瞬時に発動できるのが最大の強み。
三つのポイントはね、チャクラの“回転”、“威力”、そして、“留める”ということだ。
この三つの力が合わされば、どんな大きなものでも吹き飛ばせるパワーが出せるようになるよ。
もちろん、螺旋丸自体を大きくすれこともできるけどね。
ま、カカシのチャクラ量じゃ大玉は無理だから、今は小さいのをマスターしようね」
「うん、オレ、がんばるよ!」
二人の修行は夕方まで続いた。
カカシは写輪眼でコピーしたから、螺旋丸の術そのものはすぐに出せるようになったのだが、
なんせ、カカシのチャクラ量では、たいした威力はない。
木に当てても、しゅぽんとほんの小さな焦げ跡ができるだけだった。
これでは、とても、実践レベルまでは到達していない。
はぁはぁと肩で息をしながらも、何度も何度も螺旋丸を当てるカカシを四代目は暖かく見守ったいた。
(こうやって、オレの術をカカシに引き継いでもらわなくっちゃね。
あと、どの位の術を教えてあげられるのかな・・・)
「先生、思った以上に、チャクラコントロールが難しいよ」
「オレはこの術を完成させるまでに、3年もかかったんだよ?
いくらコピーしたからって、一日でマスターはできないよ。
焦らないで、じっくりやりなさい、カカシ。
さ、今日はこの位にして、そろそろ帰ろうか」
「ありがとう、先生。まさか、螺旋丸を教えてもらえるなんて、思ってもいなかった」
「オレは、カカシの喜ぶ顔が見れて、それだけ幸せだよ」
「先生、荷物まとめなくっちゃね」
「カカシが買ったものは、またいつ来てもいいように、ここに全部置いていくからさ。手ぶらで帰ろう」
四代目はパチリとウインクをして、カカシを抱き寄せた。
「二人だけの秘密の部屋で、
また、二人だけの秘密の修行をしよう、ね!」
* * * * *
時は流れーーーー
七年後、
カカシが二十歳の誕生日の晩、
カカシは思いがけないプレゼントを、
時を超えて飛んで来た四代目から、受け取った。
「カカシー!元気にしてたー?」