Five presents
☆一番最初に投稿した「The fifth dream」のお話とリンクしてます。
こちらが、過去編みたいな感じです。 シドがドラクロア研究所の所長になってからというものの、毎日残業続きで、夜帰宅する頃には、ファムランは寝ていることがほとんどだ。 しかし、今日は特別な日。何日も前から、準備万端で待っていたのだから。 何としても、シドが帰ってくるまで起きていたいと思うファムランだった。 玄関のチャイムが鳴って、シドが帰って来た。 「あ、パパが帰って来た!」 ファムランは、シドの元へだだだっと走って迎えに行った。 「ただいま、ファムラン、まだ起きていたのかい」 「だって、今日はパパの誕生日だよ、今日くらい頑張って起きているよ!」 「朝食の時に、もう、お祝いの言葉は言ってもらったからいいのに」 シドはファムランを抱え上げ、頬にちゅっとただいまのキスをした。 ファムランもシドに「おかえりなさい」と言って、小さなキスを返した。 「でも、朝からケーキは食べられないから、夜にするって言ってたじゃないか!」 「おお、そうか、そうか。じゃぁ、着替えてくるから、待ってておくれ」 シドが寝室に行っている間に、ママが料理とケーキをダイニングテーブルの上にたくさん並べてくれた。 「うわ〜い、ごちそうがいっぱいだ!あれ、ろうそくは?」 「さすがに43本も立てられないからね。大きいのが4本と小さいのが3本ね」 「ぼくがやるー!」 ファムランは嬉しそうに、ろうそくを7本立てた。 シドが着替えて、戻ってきた。 「美味しそうなケーキだな」 「パパ、ろうそくに火をつけてよ!」 シドが、ライターでろうそくに火を点けた。 「ハッピーバースディトゥーユー♪ハッピーバースディトゥーユー♪ ハッピーバースディディアパーパー♪ハッピーバースディトゥーユー♪」 ちょっと音程が外れてはいたが、ファムランは一生懸命シドにために歌った。 「おめでとう!パパ!早くふうってして!」 シドが、ふうっと息を吹きかけて、ろうそくの火を消した。 ファムランは、背中に隠し持っていたプレゼントをシドに渡した。 「はい、パパ、僕からのプレゼントだよ!」 シドはグリーンのリボンをほどいて、画用紙を広げた。 「ありがとう、ファムラン。おお、素晴らしい!上手く描けてる」 「ぼくがデザインした飛空艇だよ!カッコイイでしょ?」 「うん、なかなか、いいセンスをしている。さすが、ワシの息子だ」 シドは嬉しくて嬉しくて仕方ないというように、目を細めながら、ファムランの頭を撫でた。 「よし、これは、いいな。今度、使わせてもらおうか」 「えー?本当に?どこどこ?」 「ああ、これだ、この丸いフォルムは珍しい」 「あ、それ、僕が一番気に入ってるやつなんだ!」 いつのまにか、ファムランはするりとシドの膝の上に登り、一緒に絵を見ながら、「これはね」、「ここはね」と解説を始めた。 微笑ましい二人の姿を見ながら、ママはケーキを切り分けて、お皿に乗せた。 「ありがとう、ファムラン、ステキなプレゼントだね。 パパ、嬉しかったから、パパは自分にもプレゼントあげちゃおうかっなー!」 「えー?パパがパパに?欲しいもの、自分で買っちゃうの?そんなのつまらないじゃん」 「今日は、もう晩いから、明日にしようね、ファムラン」 「明日、買いに行くの?」 「それは、明日になってからの、お・た・の・し・み!」 そう言って、シドはパチリとウインクをした。 翌朝、一緒に朝食を済ませた後、シドはファムランの前に1枚の紙とペンを置いた。 「さぁ、ファムラン、ここにファムランの夢を5つ書いてごらん」 「ぼくの・・・夢を・・・?5つ?」 「そうだ、タイムカプセルにして、お庭に埋めよう! そして、20年経ったら、開けるんだよ。その時、ファムランの夢は叶っているかな?」 「タイムカプセルーー!!すご〜い!」 「でも、それが、なんでパパのプレゼントなの?」 「ファムランが自分の夢を叶えてくれるのが、パパにとって、最高のプレゼントだからね」 「5つも?たいへんだよ、そんなにいっぱい」 ファムランは困ったような顔をして、頬をぷくりと膨らませた。 「はっはっはっ、パパは欲張りだからな。でも、時間は20年もあるんだから、大丈夫だよ」 「うん、じゃぁ、考えるね」 暫くの間、う〜んと腕を組み、小首を傾げながら考えていたファムランだったが、にっこりと微笑みペンを取った。 どうやら5つの夢が決まったようだ。 「パパ、書き終わるまで、ちょっと後ろ向いてて」 「はいはい」 シドが後ろを向いてから、ファムランはすらすらと書き始めた。 「OK!書けた。もう、こっち向いてもいいよ」 ファムランは誇らしげな顔で、5つの夢を書いた紙をシドに渡した。 「はい、パパ。これがぼくの夢」 『ドラクロアに入る パパみたいなエトーリアになる パパといっしょにひくうていをつくる パパといっしょにつくったひくうていのパイロットになる ママみたいな人とけっこんして、パパみたいなパパになる』 シドの顔がくしゃくしゃに崩れた。 「いい子だね、ファムラン」 「ねぇ、パパは?パパの夢も一緒に埋めるんでしょ?」 「もちろんだよ。ちゃんと書いてきた」 「見せて!見せてよ!」 「それは、ひ・み・つ!」 「ずるいよー!ぼくのは見たのに!」 「ファムランには難しくて、見てもわからないよ」 「お仕事のことだから?」 「20年後に、一緒にこれを開ける時の楽しみだ。 その時は、きっとファムランにも意味がわかる」 「そう?」 「パパもこの5つの夢を叶えるために頑張るから、ファムランもね」 「うん!ぼく絶対、夢を叶えてみせるよ!」 「パパとファムランの約束だね」 そう言って、二人は小指を絡めて、指きりげんまんをした。 * * * * * * 20年後ーーー タイムカプセルは開かれた。 5つの夢を約束通り叶えて。 それは、ファムランから亡きシドへの最高のプレゼントになった。 「あんのクソ親父・・・」 バルフレアは、シドの夢が書かれた古びた紙を、そっと握りしめた。 『ファムランをドラクロアに入れる ファムランをエトーリアにさせる ファムランと一緒に飛空艇を作る ファムランと一緒に作った飛空艇をファムランに操縦させる ママみたいな人と結婚させて、ワシみたいなパパにさせる』 「馬ー鹿、全部叶ったじゃねぇか、ママみたいってわけじゃねえけどな」 バルフレアは隣にいるバッシュの横顔を見て、くすりと笑った。 そして、青い空を見上げて、心の中でシドに話かけた。 (おらよ!オレからのプレゼント5つ、ちゃんと受け取れよ!) |
2011/6/30
FF12 5周年記念企画に大勢の皆様にご参加いただき、本当に本当にありがとうございました!
この2ケ月の間、毎日企画部屋に日参しては、一人にまにましながら、至福のひとときをおくっていました。
まさかのこの大盛況!8000打、100作品を超えるとは夢にも思ってませんでした。
懐かしいマスター様、最近ハマったマスター様、まだプレイ中のマスター様!そして、何度も再投稿してくださるマスター様も!
新旧豪華絢爛のFF12スキーのマスター様がご一同に集まって、ご参加くださいました。感謝感激です!!!
そして、皆様に楽しんでいただいて、和やかな交流の場になったことが、何より嬉しいです!
拙い主催で申し訳ない思いでいっぱいですが、このお祭り企画を開催して本当によかったと思いました。
これを機会に、皆様のサイトにも遊びに伺わせていただきますので!
今後ともお付き合いの程、どうぞ宜しくお願いいたします。
では、ではお次は10周年記念企画でお会いしましょうね〜(←え 生きてる?
いえいえ、9日の絵茶会でお会いしましょう!(*^^)v
ありがとうございました!
FF12 万歳ー!万歳ー!万歳ーー!!!
ファーラム!!!