誕生日プレゼント 完
数日後、シカクから届いたメールをにんまりと眺めていた四代目。
カカシから何も言ってこないところをみると、どうやらシカクに与えられた極秘任務は成功しているようだ。
四代目もルンルン気分で仕事がはかどるようになったのだから、シカクの里への貢献は大きいものになったと言える。
そして、二ヶ月が過ぎ、九月二十二日、ヨシノが無事元気な男の子を出産した。
シカクは四代目の予想通り、親バカぷりを発揮して、我が子の写真を自慢げに見せまくり、まわりの皆にからかわれていた。
が、当の本人はそんなことは全く気にしないで、鼻の下をデレデレに伸ばしっぱなしで、ヨシノにも呆れられるほどだった。 男の子でこの状態なんだから、もし、これが女の子だったら、いったいどうなってしまうのか、忍を止めているのではないかと笑われていた。
四代目のプレゼントは大いに役立っていたようだ。
もちろん、四代目もカカシと一緒にお祝いに駆けつけた。
両手には抱えきれないほどたくさんのお祝いを持って。
「シ〜カ〜ク〜! 赤ちゃんの顔見に来たよ〜!
ヨシノちゃん、おめでとう〜!」
ヨシノの隣には、シカクそっくりな赤ちゃんが寝かされていた。
「うわ〜 やっぱりシカクそっくりじゃん! ねえ、抱っこさせてよ〜!」
「おっこどすなよ!」
シカクが恐る恐るそっと赤ちゃんを抱き上げ、四代目に渡した。
「もう、シカクったら心配しすぎて寿命縮まっちゃうよ〜 ねぇ、何て名前なの?」 「シカマルっていうんだ」 「ん、いい名前だね〜 見て!見て!カカシ! わぁ〜 シカクそっくり!
大きくなって、髪を束ねたら絶対シカクみたいになるよね〜」
四代目はそんなに可笑しかったのか笑いが止まらない。
カカシもシカクとシカマルの顔を交互に見ては、確かに似ているなとしみじみと思った。
「笑いすぎだろ」
「だって、だって・・・ こんなにそっくりな親子見たことないよ!」
「どうだ〜? オレ様に似て美男子だろ〜?」
「こんにちは! シカマル君、オレ、波風ミナト、よろしくね。君のパパの友達だから。
ほら、カカシもちゃんと挨拶して」 そう言いながら、四代目は赤ちゃんのほっぺをつんつんと突いた。
カカシはまだ、何も分からない赤ん坊に挨拶しろ言われて驚いたが、誰に対しても変わらない態度をとる四代目のことだから、たとえ本人が今は分からなくても、君が生まれた時にはちゃんと抱き上げて挨拶をしたんだよと言いたいのかもしれないと思った。
「シカマル君、オレ、はたけカカシです。宜しくね」
「ねぇ、シカマル君、カカシはとっても強い忍だから、君が大きくなったら、カカシに弟子入りしてもいいんだよ。
きっといい先生になると思うよ! どう?」 「こらこら勝手に決めるなよ! シカマルの師匠はオレが決めるんだからな!」
「え〜 何それ? カカシじゃイヤだっていうの?」
「そんなこと言ってるんじゃない。オレの子どもなんだから、お前の好きにはさせないってことだよ」
当のシカマルのことはさっぱり無視して、二人して言い合っている。
この二人はいつもそうだから、ヨシノとカカシは目を合わせて笑った。
「はいはい、アナタ、いいかげんにしてよ。
折角四代目様がお祝いに来てくださったんだから、ほら、カメラ!カメラ!」 「おっと、そうだったな」
シカクは腰のポーチから、デジカメを取り出して、四代目に抱かれるシカマルとカカシをパシャパシャと何枚も撮りまくった。
後日、シカクから送られてきた写真をカカシに見せながら、四代目はシカマルの将来に思いをよせた。
「いや、ホント何回見ても瓜二つだよね〜 この親子。
でも、きっと似ているのは顔だけじゃない。 こっちの方もシカクに似て、良さそうだな! きっと、木ノ葉を背負っていける忍になるよ。 ねっ、カカシ! 楽しみだね!」
四代目は頭を指指し、そして、もう一度写真を見て優しく微笑んだ。
今でも、奈良家にはこの時の写真が大事に飾られている。 |
2008/7/15