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師弟の絆   7


時は三番目の十二歳を迎えようとしていた。
 
朝からちらちらと小雪が舞う寒い一月の二十五日、
木ノ葉の上忍夫婦の部屋でおぎゃぁ〜っと元気な産声が上がった。
 
「ママ、でかしたぞ! 男の子だ!」
 
「あっ、あ ・ な ・ た・・・
 はぁはぁ・・・ まだ・・・ なんか・・・
 もう一人・・・ 生 ・ ま ・ れ ・ そ ・ う・・・」
 
「へぇっ!? 何? もう一人だと? よし、頑張れ〜!」
 
おんぎゃぁぁぁぁぁ〜
 
一人目よりもさらに大きな声でもう一人男の子が生まれた。
 
「ママ、凄いそ! 双子の男の子だ!将来が楽しみだな〜! 
 よく頑張ってくれたね、ありがとう!」
 
まるで天使の様に美しい金髪碧眼の赤ちゃんを両手に抱き上げて、父親は嬉しそうに、二人の顔を交互に何度も見つめた。
 
「二人ともママにそっくりで可愛いな〜」
 
まだ身体を起こすことの出来ない母親の顔の隣に赤ちゃんを並べてあげた。
 
母親は無事にお産を終えてほっとして、涙が溢れて止まらない。
そっと両側の我が子の頬を自分に寄せた。
 
しかし、しばらくして、何か決意したかのようなきりりとした目で父親を見つめた。
 
「あなた・・・お願いがあるの・・・
 折角二人生まれたのだから・・・
 一人は・・・ 一人は忍としてだはなく、普通の子どもとして育ってもらいたいの・・・
 どうせ、私達の子なんだもの、忍として生きていくしか道はない・・・
 だからせめて、一人は長生きして幸福な人生を送って欲しい・・・
 国境の町に住んでいる私の従姉妹が、長い間子宝に恵まれなくて、
 寂しがっているの。
 あの子だったら、自分達の子どもとして、きっと立派に育ててくれる。
 私達は、1年に何回かでも会えれば・・・
 その方がいいと思う」
 
「そんな事が許されると思うのか?
 隠し通すことだって大変なんだぞ」
 
「普通に一人しか生まれなかった事にすればいいじゃない。
 誰も双子だなんて知らなかったんだし」
 
「ったく・・・ どうして・・・」
 
父親は信じられないというような呆れた顔で母親を見つめたが、我が子を思う母親は強い。
生まれた子どもを手放す寂しさよりも、平凡でもいいから幸福で長生きして欲しいという親心も分からなくはない。
自分の命だって明日をも知れぬ忍の家で育てられるより、一般家庭で育てられるほうがどれ程幸福なことか。
 
父親は少しの間考えたが、一人は育てられるのだから、母親の言う通り、一人は従姉妹の家に預けようと腹を決めた。
 
「分かったよ、ママの言うとおりにしよう」
 
「ありがとう、あなた。
 双子は先に生まれた子が弟、後から生まれた子が兄なのよ。
 だから、この子を私達の子どもとして・・・」
 
母親は、そっと長男を抱き締めて、にっこり笑って頭を撫でた。
 
 一週間後、父親は母親の書いた手紙と共に、次男を従姉妹の家に送り届けた。
 
(元気でな・・・ 幸福に生きてくれ・・・
 俺達家族を遠くから見守ってくれ・・・
 そして、もしも兄に何かあったら、その時はお前の出来ることでいいから、
 助けてやって欲しい・・・)
 
そう心の中で祈りながら、最後にぎゅっと我が子を抱きしめて、
「お願いします」
と頭を下げて、従姉妹の女性に赤子を預けた。
 
「ありがとうございます。 我が子と思って、大切に大切に育てていきますから、
 どうか安心してください。
 たまには、顔を見に遊びにいらしてくださいね」
 
父親は、あの子にはこれでよかったんだと自分に言い聞かせながら、木ノ葉に帰って行った。
 
 
 そして、長男は、二人分の愛情をたっぷりと受け、元気ですくすくと育っていった。
 机に向って本を読むことよりも、何より身体を動かすことが大好きで、朝から暗くなるまで、泥んこになって遊ぶ。
さすが上忍の子、運動神経はバツグンだった。
身体的能力や動物的感、忍としての才能は父親譲り、そして美しさと優しさは母親から、まさに両親の良い所ばかりを貰ったようだ。
 
アカデミーに入学後は同期のシカクや、イノイチ、チョーザ達とツルんでよく遊んだ。
不思議と金髪の少年の周りには人が集まってくる。
誰かが苛められて、泣きついて来ると、
 
「ったく、どいつもこいつもしょうがねぇ奴らだ。
弱いもの苛めるのは、ぜってぇー 許さないが、
苛められる方も、もっと強くなりやがれってんだ」
 
こうして、悪ガキを退治していたのだが、
何故か、次の日には苛めていた子も、苛められていた子も、この少年にくっ付いて遊ぶようになるのだ。
いつの間にか、仲間が増えて、ケンカなら誰にも負けないやんちゃなガキ大将になっていた。
人の上に立つ資質はこの頃から養われていたようだ。
  
 
毎年、誕生日の次の日になると、親戚の家で一緒にお祝いするからと、国境近くの家に連れて行かれた。
もちろん、兄弟という事は互いに知らされてなかった。
小さい頃は、分からなかったが、徐々に、
 
(コイツって何かオレに似てないか?)
 
と不思議に思うようになっていた。
親戚だから似ていてもおかしくはないのだが、まるで自分を見ているような気がするほどそっくりなのだ。
まぁ、相手は一般家庭で育てられているのだ、どこか緊張感のないぼうっとした男の子だったが・・・
少年にとっては盆暮れや何故か誕生日の次の日に会いに行く親戚の子という記憶だけが残ってた。

                                                                         2007/4/13

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