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師弟の絆   10


時は流れ、三番目の十二歳がまもなく終わろうとしていた。
 
日中はまだ少し暑さが残ってはいるものの、朝晩はめっきり涼しくなってきた。
九月十五日、月光輝く満月の夜。
 
おんぎゃぁ おんぎゃぁ

木ノ葉病院の一室で可愛らしい産声が上がった。
取り上げた助産婦が産湯に浸けながら思わず見惚れるほど愛くるしい整った顔立ちをしている。
廊下でうろうろしながら待っていた父親サクモに助産婦が声を掛けた。 

「はたけさん、おめでとうございます。
奥様に似て、とっても美しい綺麗な男の子ですよ〜」
 
「えっ? 美しい? 男の子?」
 
「助産婦歴30年、今まで5000人以上の赤ちゃんを取り上げてきたけど、
こんなに綺麗な赤ちゃんは初めてですよ!
普通、女の子だったら可愛い女の子、男の子だったら、元気な男の子ですよって
言うんですけどねぇ・・・ 将来が楽しみだねぇ〜 うふふ・・・」
 
(何だ? このオバサン!?)
 
サクモはただでさえ舞い上がっているのに、助産婦の言っていう意味が今一理解できなかった。
 
「はい、中へどうぞ、もう奥様と赤ちゃんにご対面できますよ〜」
 
サクモは物凄い勢いでだだだっと病室の中に入っていった。
 
「よく頑張ったくれたね、ありがとう」
 
愛しい妻の手を握り締め、そして、隣に寝かされている我が子をやっと見ることが出来た。
病院に運ばれてからは、数時間のことだが、妊娠を知ってからは八ケ月程経っているのだ。
二人にとっては第一子で、待ちに待った感激の瞬間だ。
 
「あなたに良く似た可愛い男の子よ」
 
サクモは、赤ちゃんの顔をじっと見つめた。
 
(うっ・・・ 美しい・・・ 本当に助産婦さんの言ってた通りだ・・・)
 
サクモは、助産婦の言ってた意味がやっと理解できた。
 
「助産婦さんは、君に似ているって言ってたよ」
 
「そうかしら、髪の色もあなたと同じだし、目元あたりなんかあなたにそっくりじゃない」
 
母親は、ふふふと優しく笑って、愛おしそうに赤ちゃんの髪をそっと撫でた。
 
「ねぇ、名前を考えなくっちゃね」
 
実はサクモは女の子の名前はいくつか考えていたのだが、男の子の名前はあんまり思い浮かばなかったのだ。
 
「そうだな、名前を決めなくっちゃな。
ねぇ、もう、抱いていいのかな?」
 
「えぇ、そっとね」
 
サクモは恐る恐るぎこちない手で、そっと赤ちゃんを抱き上げた。
 
思ったよりも軽くてびっくりした。
ふわっと甘い赤ちゃんの香りが広がった。
我が腕に初めて赤ちゃんを抱いて、父親の実感が湧いてきたのか、じわ〜っと涙が溢れてきた。
 
「かっ・・・ かっ・・・ 可愛い・・・ 本当にオレの子・・・」
 
呆然と我が子を見つめ続けた。
 
「かっ・・・ かっ・・・ 何て可愛らしいんだ・・・」
 
思わずほっぺをつんつんと突いてみた。
そしたら、一瞬笑ったように・・・
サクモには見えたのだ。
 
「ねぇ、ねぇ 見た? 今、笑ったよね?」
 
サクモの頬はデレデレと緩みっぱなしだ。
 
「かっ・・・ かっ・・・ 可愛らい・・・」
 
我が子に見惚れながら、何度も呪文のように呟いている。
 
「まぁ、あなたったらさっきから、かっ、可愛いとしか言ってないわよ」
 
「かっ・・・ かっ・・・  ・・・し・・・」
 
「えっ? カカシ? カカシって名前にするの?
うん、いいかも! カカシィ〜って呼びやすいし、可愛いし!」
 
「かっ・・・ かっ・・・ ・・・しぃ・・・」
 
「じゃぁ、決まりね! あなたの名前は、『はたけカカシ』 カカシ君宜しくね!」
 
「かっ・・・ かっ・・・ しぃ・・・」
 
「ちょっと、あなた、大丈夫?」
 
母親はサクモの腕をぐいっと押してみた。
はっと我に返って、恥ずかしそうに笑った。
 
「カカシ、うん、強そうないい響きだ。 カカシで決まり! カカシィ〜 パパでちゅよぉ〜」
 
サクモは、普段の鋭い表情からは想像も出来ない程ぐちゃぐちゃに崩れた顔で、
カカシのホッペにちゅっとキスをした。
 
「カカシったら、可愛い過ぎて、誘拐でもされたらどうしよう? 心配だな・・・
何があっても、カカシの事はパパが守ってやるからな!」
 
「まったく・・・ あなたったら、今からそんなに心配してどうすんのよ!」
   
「木ノ葉の白い牙」と恐れられ、その名を他国にまで轟かせている忍であっても、
人の親となり、我が子の事となれば人格も変わる。
 
 この日から、サクモのカカシを護るという新たな闘いが始まったのだ。
 
 
 こうして、木ノ葉の里に、また一つの伝説が生まれた。

                                                                              2007/9/15

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