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師弟の絆   11


彼岸も過ぎ、頬を撫ぜる風が少し秋めいてきた、
9月25日。
今日は日曜日で任務は休みだった。
  
「お〜い、ミナト、ちょいと悪いがお使いに行って来てくれ」
 
「いいよ〜 どこまで?」
 
「甘栗甘に赤飯とおはぎを注文しているから、取りに行って欲しいんだ。
 支払いは済ませてある、貰ってくるだけでいいからのぉ」
 
「うん、分かった! 自来也先生、おはぎって、まだお彼岸だっけ? どっか出かけるの?」
 
「あぁ、もち米は、母乳の出が良くなるって聞いたからな。
サクモの奥さん、退院したらしいから、あの親バカをちょいとからかいに行ってやるんだ。
お前も一緒に連れてってやるぞ。 まったく木ノ葉の白い牙ともあろうものが、毎日毎日呆れるほど、我が子の自慢話ばっかだからのぉ。」
 
「へぇ〜 そうなんだ、あのサクモさんがねぇ・・・」
 
自来也の親友でもあり、たまにお酒を飲みに遊びに来るサクモのことはミナトも良く知っていた。
見かけの颯爽としたイメージとは違って、話すととても気さくな人で、ミナトのことも可愛がってくれていた。
サクモに赤ちゃんが生まれたのは聞いていたので、ミナトも赤ちゃんに会えるのを楽しみにしていたのだ。
 
「悪いな、甘栗甘はサクモん家と反対方向だからな。
お駄賃に豆大福くらい買ってもいいぞ」
 
「おっし! 先生〜 2個ね! じゃ、ひとっ走り行ってくるよ!」
 
差し出された手のひらに、自来也は笑いながら小銭をちゃりんと載せた。
 
 
ミナトは、嬉しそうな顔をして飛ぶように駆け出して行った。
びゅんびゅんとスピードを上げ、瞬く間に甘栗甘に到着した。
 
「すみませ〜ん、 自来也先生の注文したもの取りに来たんですけど」
 
「はい、こちらですよ。 お赤飯とおはぎね」
 
店員は中身の確認のために二段重ねの重箱の蓋をそっと開けて見せ、そして綺麗な風呂敷で包んでくれた。
 
「それから、豆大福2つ! それは包まなくていいよ! ここで食べてっちゃうから」
 
店員は、「まぁ、お駄賃ね」とにこりと笑って、豆大福をお皿に2つ載せてくれた。
 
ミナトはぺろりと平らげ、ポッケから小銭を出して、店員に渡した。
 
「ご馳走様。 うわ〜 結構重いな・・・」
 
「ありがとうございました。 気をつけてね」
 
ずしりと重い重箱を大事そうに抱えて、帰りはゆっくり歩いて帰った。
 
 
「自来也先生〜 貰って来たよ〜 どこ置いておくの?」
 
「あぁ、ありがとうな。 よし、もうこのまま出かけるぞ。 
後は、酒とお祝いを買って行こう」
 
自来也が重箱を持ち、隣でミナトは飛び跳ねるように歩いている。
 
「先生、赤ちゃん、何て名前なの?」
 
「そういえば、何だったかな・・・ 毎日煩く喋ってたんだがのぉ・・・
何だか変な名前だったような・・・ でも、はたけに妙にしっくりいってたような・・・」
 
「あ〜 楽しみだな〜!」
 
しばらく行くと、子供服のお店に着いた。
 
「おお、ここでいいだろう。 ワシは酒を買ってくるから、その間に、お前がお祝いを選んでおいてくれ。
『生まれたばかりの男の赤ちゃんのお祝い』に、って言って適当なものを見繕ってもらえよ」
 
そう言って、自来也は札入れから数枚のお札をミナトに渡した。
 
「えっ、オレが選んでいいの?」
 
「サイズはちゃんと店の人に選んでもらうんだぞ!」
 
自来也の言葉も半分しか聞かないで、素早くミナトは店の中へ入って行った。
 
「いらっしゃいませ」
 
「あの、『生まれたばかりの男の赤ちゃんのお祝い』をください。
 えっと、お金はこれだけ!」
 
ミナトは自来也に言われたとおりに店員に告げた。
 
「新生児のベビー服はこちらですよ」
 
店員の後を付いて行くと、ベビー服のコーナーにはお祝いセットの可愛らしい箱がたくさん置かれていた。
 
「男の子はこんな感じね」と店員はいくつかのセットをミナトの前に並べてくれた。
 
「わぁ〜 可愛いね〜! 白がいいの? それともやっぱ男の子だから水色かな?
う〜ん、でもこっちの黄色もいいかもね」
 
「よろしかったら、お好きなものを選んでいただいてもいいですよ。
お箱にお詰めしますから」
 
「へぇ〜 じゃぁ、そうだな、これと・・・ えっと、これはどうかな・・・」
 
ミナトは棚に並べてあったベビー服を次々と手に取っては見比べている。
ベビー服を選ぶのなんて初めてのことだったから、楽しくってしょうがない。
どんな服が似合うのかななんて、まだ見ぬ赤ちゃんを想像しては、あれもいいこれもいいと迷ってしまう。
やっとのことでいくつかの服を決めた。
 
そんなミナトを微笑ましく見ていた店員は、
「それから、小さいおもちゃとか靴下とかの小物も入れて差し上げましょうね」
と、言って、タオル地の小さなうさぎのぬいぐるみをミナトに渡した。
 
「うわっ、小さいね〜! そっか、赤ちゃんが持つんだものね。
でも・・・ オレ、さっきお店に入った時にすごく気になったんだけど・・・」
 
うさぎを置いて、ミナトは入り口近くにあったおもちゃコーナーに走り、1メートル位はありそうな大きな熊のぬいぐるみを抱えて来た。
 
「これも! ねっ! 大きいのもいいよね? お金足りるかな?」
 
「まぁ! 遊べるようになるにはまだまだ先ですけど?」
 
「いいの、いいの! だってとっても可愛いんだもん!
それに赤ちゃんてすぐ大きくなっちゃうでしょ?」
 
「はい、はい、じゃぁ、それもお包みしますから、少しお待ちくださいね」
 
店員に熊のぬいぐるみを渡して、包装してもらっている間に、おもちゃのコーナーでいろんなものを見ていた。
ミナトは磁石で付く魚釣りのおもちゃが目に留まり、思わず釣り竿を持って釣ったりしてみた。
こんな風におもちゃを見るのなんて久しぶりのような気がして何だか懐かしい気分になった。
男の子だから、最初はやっぱり車や電車がいいかななんて見てみたり、おもちゃで遊べるようになったら、またここで何か買ってあげようと思った。 
 
しばらくすると、ベビー服の入った紙袋と包装紙に包まれて大きなリボンがかけられたぬいぐるみを持って店員が戻ってきた。
 
「一人で、持てるかしら?」
 
心配そうな顔をして店員がミナトを見たちょうどその時、
 
「決まったか?」
 
と、店に入ってきた自来也がミナトに声を掛けた。
 
「うん! オレがすっげぇ可愛いの、たくさん選んだからね!」
 
自来也は店員が持っていた大きな包みを見て眼を丸くした。
 
「こっ、こんなにデカイのか? いったい何選んだんだ?」
 
「えへへ〜  サクモさん家に着いてからのお楽しみだよ!」
 
呆れ顔の自来也に店員が申し訳なさそうに、紙袋とおつりを手渡した。
 
自来也は、重箱にお酒にベビー服と両手がいっぱいになってしまった。 
ミナトは大きな包みを大事そうに抱えて歩いている。
そして、二人はサクモの家に到着した。

                                                                              2008/1/25

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