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師弟の絆   15


そして、一年が経ち、カカシは二歳の誕生日を迎えた。
 
相変わらず、ミナトはカカシのところに入り浸っている。
もちろん、カカシにも、パパやママとは違うけど、いつも自分と遊んでくれる人という認識はしっかり出来ているのでミナトが来るのを楽しみにしている。
ミナトが遊びに来れば、ミナトに抱っこをせがむようになっていた。
サクモももう何も言わず、微笑ましく二人を見守った。
 
今のミナトにとっての大きな目標は、カカシに自分の名前を呼ばせることだ。
男の子は口が遅いから、二歳を過ぎても、中々話せるようにはならなかった。
ミナトはとにかく自分の名前をカカシに言わせたくて、顔を指差しては、
「ミナト、ミナト」と、教えていたのだ。
ミナトはカカシを抱き上げて、呪文のように何度も繰り返した。
「カカシ! オレの名前はミ〜ナ〜ト! 言ってごらん、ミナトって」
「ミ・・・ミ・・・?」
カカシも小さな口を必死に動かそうとするが、「ミナト」と発声するのはまだ難しいようだ。
ほとんどの赤ちゃんが最初に発する言葉はおそらく「マンマ」だろう。
それは、「ママ」と食べ物を意味する「マンマ」と両方を兼ね備えた最強の言葉だ。
ママに抱っこをしてもらいたい時も、おなかが空いた時も、すべて「マンマ」で通じるのだから。
この頃のカカシも、まだ「マンマ」しか言えなかったが、ミナトは、言葉は発せなくても、カカシが何を欲しているのか、表情で分かるようになっていた。
 
休みの度に、カカシの元を訪れては、
「ミ〜ナ〜ト! オレの名前はミ〜ナ〜ト! ミ〜ナ〜ト!」
と、繰り返し、カカシに教えた。
しかし、相変わらず、「ミ・・・ミ・・・」
しか言えないカカシ。
それでも、笑いながらミナトを指差し、口を必死に動かしているカカシ可愛いくてたまらない。
「まっ、いっか。オレのことはミだと分かってくれているみたいだし。さぁ、あそぼ〜!カカシ!」
ミナトは、生まれた時にお祝いにあげた大きな熊のぬいぐるみや、一歳の誕生日にプレゼントしたおもちゃをたくさん出してカカシと遊んだ。
カカシは中でもミナトがあげた積み木が大のお気に入りで、何度も何度も積み重ねては、すぐにバ〜ンと壊してしまう。その繰り返しを楽しんでいるようだ。
ミナトが積んであげると、もっともっとせがむのに、積み重ねるとすぐに壊してしまう。
ミナトがわざとらしくぷぃっとほっぺを膨らませ怒ったような顔をすると、カカシはそれが面白いのかミナトの膨らんだほっぺをふにふにと触るのだ。
   
その瞬間は突然やってきた。
 
「もぉ〜、カカシたら、折角オレがすごいお家を作ってあげたのにぃ〜」
 
「ミ・・・ミ・・・ア・・・ト・・・?」
 
「うわ! カカシ! 今、ミナトって言った???」
 
「ミ・・・ア・・・ト」
 
「ミアトじゃないよ! ミナト!! ミ・ナ・ト!
もう一度言ってごらん」
 
ミナトは自分を指差し、必死に繰り返す。
 
カカシはにこにこ顔で、ミナトのほっぺを突いている。
 
「ミ・・・ナ・・・ト?」
 
「えっ! 今、言えた? 言えたじゃん! カカシ! ありがとう〜!」
 
ミナトはぎゅっとカカシを抱き上げぐるぐると回った。
 
「わ〜い! わ〜い! カカシがオレの名前を呼んでくれたよ〜!」
 
こうして、ミナトの執念とも言える教育のお陰で、カカシはミナトの名前を言えるようになったのだ。
これには、さすがのサクモもかなりやきもちを妬いたようだ。
なんせ、まだ「パパ」とは言えなかったのだから。
またしても、このことを人前で自慢しないようにと、ミナトに約束させた。
ミナトはカカシがパパよりも先に自分の名前を呼んでくれたということをその後も誰にも言わずに、自分の胸の内にそっとしまっておいた。
これも、自分だけが知っていればいいことだったのだから。
 
サクモは、それから、必死に「パパ」と呼ばせる練習をして、数日後には、ちゃんとサクモのことを「パパ」と言えるようになった。
 
「ミナト」と名前が言えるようになったカカシは、「ミナト」と呼ぶと、ミナトが喜んでくれ
るのが分かるのか、ミナトが遊びに来ると、「ミナト、ミナト」と言っては、ミナトにぴったりと張り付いて離れない。
 
そして、カカシが次に新しく覚えた言葉は・・・
 
「だっこ」
 
今日もミナトがサクモの家を訪れ、
「こんにちは〜!」
と、玄関の扉を開けると・・・
 
よちよちとカカシが歩いてきて、満面の笑みで迎えてくれた。
両手を高く掲げ、
 
「ミナト・・・だっこ」
と、だっこを強請る。
 
「カカシ〜! 今日は何して遊ぼうか?」
 
そう言って、ミナトが抱き上げると、嬉しそうにミナトのほっぺを撫でてカカシが笑った。

                                                                              2008/10/16

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