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カカシの微笑み   2

   

翌日、シカク班は、暗部のSランク任務を終えて、木ノ葉の里の大門の上に帰還した。
 
シカクにとっては、Sランク任務の成功よりも、カカシを無傷で無事に帰すことが出来たことにほっと胸を撫で下ろした。
というのも、カカシの様子が朝からいつもとちょっと違っていたように感じられ、不安の中任務を遂行してたからだ。
以前、カカシがほんの小さなかすり傷を負ったとき、四代目からこっぴどく叱られたことがあった。
それ以来、シカクにとっては、ある意味、任務の成功よりも大きなプレシャーとなって肩に大きく圧し掛かっていたのである。
 
(ったく・・・ アイツ 平日なのに また、カカシに無理させやがったのかな・・・?)
 
なんて思いもチラっと頭をかすめたが、いざ任務が始まれば、カカシは何のミスもなく、完璧に任務をこなしていった。
 
今日の任務はSランクの中でも、SSに近い厳しい任務だったが、カカシの写輪眼のお陰で予定より早く終わった。
しかし、さすがに三人ともチャクラも底を尽き、へとへとになって帰って来た。
 
「今日はちょっとキツかったな、よ〜し、ここで解散にしよう。
お前らも疲れているから、報告はオレ一人で行ってくるからいいよ」
「お疲れ様でした!」
 
3人は揃って頭を下げた。
 
「アスマ・・・ ちょっと・・・ これ、例のブツ・・・」
 
シカクは、アスマを呼び止め、何か袋を手渡した。
 
「えっ、いいんですか? ありがとうございます!」
 
そして、今度はカカシがシカクに話しかけた。
 
「あっ、あの・・・ シカク隊長、すみません・・・
これ、お願いします」
 
カカシは小さな紙をシカクに手渡した。
 
(ふっ・・・ そっか、これか・・・
 こりゃ、ゲンマに話を聞いてもらったほうがいいかもな・・・)
 
シカクは有給休暇申請書を見て、今日カカシの様子がおかしかった原因が分かったような気がした。
 
「了解、楽しんで来いよ〜!
こっちのことは心配するな。
四代目もその辺はちゃんと配慮してくれるだろうから」
 
シカクはカカシの肩をぽんぽんと叩いて、にっこり笑った。
 
「ありがとうございます」
 
カカシは深々と頭を下げ、振り返って歩き出した。
その瞬間、シカクは、ゲンマの方を見て、目で合図を送った。
 
(カカシの話を聞いてやってくれ!)
 
もちろん、ゲンマも今日のカカシの様子がおかしいことに気がついていたから、
 
(了解! オレもそのつもりだったから!)
 
と、加えていた楊枝をピクピクと動かしてシカクに返事をした。
(四カカサポーターの二人は、カカシのこととなると、言葉を交わさなくても、言いたいことが すべて分かり合える関係なのだ)
 
ゲンマはカカシの後ろから、肩をがば〜っと抱いて、話かけた。
 
「カカシィ〜 報告行かなくっていいなら、時間あるよな? オレ、もう喉カラカラ!
ちょっと、お茶でも飲みに行こうぜ〜
アスマも行くだろ?」
 
カカシはいつも、四代目の夕食の支度をするから、寄り道しないでまっすぐ帰るのだが、まだ時間もあるし、昨日から悩んでいたプレゼントのことも、いい機会だから、ゲンマたちに聞いてもらおうと思った。
 
「うん、いいよ。丁度良かった。
オレもちょっと聞いてもらいたいことあったし・・・」
 
こうして、三人は私服に変化して、ゲンマの行き付けの小さなレストランに入った。
 
カカシはミルクティー、ゲンマはアイスコーヒーとパンプキンプリン、アスマはお腹が空いたと言って、ハンバーグセットを注文した。
 
「カカシ、ここのパンプキンプリン美味いんだぜ〜!
一口食ってみな!」
 
ゲンマはカカシが甘いものは苦手なことは知っていたが、一口スプーンですくって、カカシの口に入れてあげた。
 
「うん、このくらいなら大丈夫、美味しいね〜 」
 
(今度、先生に作ってあげようかな・・・)
 
アスマはハンバーグセットご飯大盛りでむしゃむしゃ食べている。
 
「アスマ〜 こんな時間にそんなに食べたら夜ご飯たべれなくなっちゃうよ〜」
 
カカシは、心配そうな顔でアスマを見たが、
 
「このくらい平気!平気!」
 
と、アスマは手を振って笑った。
 
毎日三人一緒に任務に出ていても、こうして、お店に入って、食事をするなんて久しぶりだったから、カカシも楽しかった。
 
「ゲンマ、アスマ、あの・・・
来週の二十五日なんだけど・・・
オレ、有休取らせてもらうから、ごめんね」
「ん? 何かあったっけ・・・?」
「その・・・ 先生の誕生日なんだ・・・」
 
カカシは恥ずかしそうに、下を向いて小さな声で言った。
 
(そっか! 誕生日か、すっかり忘れてたぜ!)
 
ゲンマとアスマは顔を見合わせた。
先生の班で、一緒に組んでいた時は、三人でお祝いしたこともあったが、四代目に就任して、シカク班になってからは、前みたいにいつも一緒にいる訳ではないから、そういった意識も薄くなってしまった。
さすがにゲンマはすっかり忘れてたとは言えずに、
 
「そうだよな〜 来週先生の誕生日だったよな〜
カカシが気にすることじゃないよ!
先生が決めた誕生日休暇なんだから、一緒にゆっくり休んで来いよ!」
「その日はきっとAランクだな」
 
アスマは嬉しそうに笑った。
 
「ありがとう・・・」
「あっ、もしかして聞いてもらいたいことってこれ?」
 
ゲンマはぴっと閃いた。
カカシが思い悩んでいるなんて先生のことしかない。
 
「うん・・・プレゼントのことで、ちょっと悩んでて・・・」
「何? 何? カカシが悩んでるなんて! 珍しいな〜
よしよし、オレ様にまかせておけ!」
 
ゲンマは胸をぽんと叩いた。
 
 

                                                                              2007/2/5

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