
カカシの微笑み   6
   
| 10時を少し過ぎた頃、四代目が物凄い勢いでリビングに飛び込んで来た。 「カカシィ〜 終わったよ! 仕度出来た〜?」 「先生、お疲れ様。 準備はバッチリ!  いつでも飛んで行けるよ」 四代目は、お正月に自来也の別荘に行った時に、誕生日にもまた来るつもりで、 こっそり術式の札を貼っておいたから、一っ飛びで行ける。 「うわぁ、結構荷物あるね?」 「全部食材だよ、先生」 「ってことは、豪華なカカシスペシャルフルコースかな〜 ニシシ〜」 カカシはスポンジケーキが入った箱だけは、自分でしっかりと抱いて行く。 「カカシ、じゃぁ掴まって」 「飛雷神の術!」 別荘に着いた四代目は、掃除しなくっちゃと言って、部屋を回りだしたが、 「きれいだな、 もしかして・・・」 さすが、自来也、どうやら掃除を済ませてくれていたらしい。 お布団もふかふかに干されている。 「自来也、ありがとう」 四代目は自来也の心配りに感謝した。 キッチンに入ったカカシは持ってきた食材を冷蔵庫に入れた。 何もすることが無くなった四代目は、  「じゃぁ、先に風呂入ってくるよ」 と、言って、風呂場に向かった。 露天風呂まで付いている結構豪華なお風呂なのだ。 カカシは、夜食は執務室で食べてきたから、簡単なつまみを2〜3品手早く作った。 そして、お風呂からあがった四代目に、ビールを注いで、つまみを出した。 「先生、テレビでも見て少しのんびりしててよ。 これからケーキ仕上げるからさ、 オレがいいって言うまで、絶対こっち来ちゃダメだよ!」 「はいはい、絶対覗かないから〜」 カカシはキッチンの扉をぴしゃりと閉めた。 生クリームを手早く泡立て、いちごをスライスする。 スポンジを三等分に切り、生クリームをたっぷり縫っていちごを敷詰める。 周りをデコレーションして、上には、大きな「赤いほっぺ」のいちごを並べた。 真ん中にチョコレートのペンで、 <HAPPY BIRTHDAY TO YOU!> と文字を書き入れ完成だ。 「これでよしと、上手に出来たな」 カカシは、ゲンマ達と行ったお店で買ったハート柄の箱にそっとケーキを入れて、カードが入った封筒を上に置き、慎重にラッピングをしてリボンをかけた。 扉をそっと開けてリビングを覗くと、先生はソファーに座ってテレビを見ている。 (オレも今のうちにシャワー浴びちゃおうっと。  先生、もうちょっと待っててね) 四代目は、テレビを見ながら、うとうととうたた寝をしていた。 夕方から、影分身を使って大急ぎで仕事をこなしたので、疲れた身体に、カカシに注がれたビールが美味しくてついつい気持ちよくなってしまったようだ。 さっと、シャワーを浴びてあがったカカシは、脱衣所でバスタオルを腰に巻いたまま、手にはエプロンを握り締めて、目を瞑って、ふうっと大きく息を吐いた。 (先生が喜んでくれるなら・・・  先生の笑顔が見れるなら・・・  先生のためなら・・・) 一瞬、ゲンマとアスマの顔が思い浮かんだ。 カカシはぱっと目を開いた。 (うん、先生のためなら、何だって出来る! オレ 頑張るよ!) カカシはようやく腹が決まった。 バスタオルをぱらっと解いて、エプロンを広げた。 腕を通し、後ろで紐を結ぼうとするが、手が震えて上手く結べない。 やっとのことで、どうにか結んで、ゲンマが言ってた赤いリボンを取り出して来た。 「どこにしよっかな・・・?」 鏡を見ながら、あっちこっちと着けてみる。 「頭じゃ変だな・・・ やっぱ腕かな・・・」 迷いに迷って、結局スカーフの様に首に巻いて、左にちょっとずらして、斜めに結んだ。 「こんなもんかな・・・」 鏡に映った自分を見て、思わずぽっと赤くなる。 背中がすうすうとする。 そして、足元がぐらぐらと震えてきた。 「あぁぁ、どうしよう・・・ ドキドキしてきた・・・ こんなんじゃ、ケーキ落としそうだ」 キッチンに戻ったカカシは、大きく深呼吸して、身体の震えを落ち着かせ、テーブルに置いてあったケーキの箱を手に取って、リビングの扉をそっと開けた。 「先生・・・」 小さな声で呼んでみたが、四代目は振り返らない。 ????? 「先生・・・ もしかして、寝ちゃったの?」  カカシは、一歩づつ、ゆっくりとリビングに入って行き、四代目の後ろに立った。 「先生・・・」 「ふ・・う・・ん・・ あれ・・ オレ寝ちゃったのかな・・・?」 四代目は、目をごしごしと擦って、伸びをした。 「カカシィ〜 ゴメン」 そう言って、四代目が振り返ると・・・ | 
                                                                              2007/2/20
