カカシの微笑み 完
カカシはろうそくを取り出して、ケーキに一本づつ刺していった。
4代目の顔を見て、
「先生、ろうそくふう出来る?」、と聞いた。
「うん、もう大丈夫、落ち着いてきたよ」
「じゃぁ、火点けるよ」
カカシは手早くろうそくに火を点けた。
「ハッピィバースディ〜トュ〜ユゥ〜♪」
天使のような微笑を浮かべて、カカシが歌ってくれる。
「おめでとう! 先生!」
四代目は、ふぅっと一息でろうそくを消した。
「ありがとう、カカシ! “美味しいケーキとカカシの微笑”、オレのリクエスト通りの・・・
って、いいや、それ以上の豪華なオマケ付きで、とっても嬉しいよ!」
「美味しいって、先生、まだ食べてないじゃん!」
「カカシが作ったんだから、美味しいに決まってんでしょ!」
カカシがケーキを切って、お皿に取り分けた。
「カカシ、寒くない? 風邪引いちゃったらこまるからね、
もういいよ、服着ておいで!」
「えっ、いいの? 暖房効いてるから、寒くないし、大丈夫だよ!」
「あぁ、でも、もうこれ以上見てると・・・
オレ・・・ おかしくなっちゃいそうだからさ・・・」
四代目は、少し照れながら、頭を掻いた。
「平気!平気! 少し慣れてきたのかな・・・ 恥ずかしくなくなってきたかも・・・」
カカシは、ケーキのお皿を手に取って、四代目の膝にちょこんと座った。
「先生、ケーキ食べさせてあげよっか!?」
「ぎやぁぁぁぁ〜 カッ、カカシが食べさせてくれるのぉぉぉぉ〜!!!
ちょっ・・・ また、心臓がバクバクしてきた・・・」
「はい、先生、お口ア〜ン」
カカシが、ケーキを四代目の口に入れてあげた。
四代目の口の中に、ふかふかのスポンジとクリームが溶けて広がった。
しっかりとした甘さなのに、それでいて爽やかな、四代目好みのちょうどいい甘さだ。
「お〜い〜し〜い!!! もぉ最高!!!」
「はい、次はいちごね。ア〜ン」
「甘〜い!」
「先生、このいちごね、“赤いほっぺ”っていう名前なんだよ! 可愛い名前だよね」
「へぇ〜 いい名前だね〜!とっても甘いよ!」
そして、四代目は、ケーキと言えば恒例の、生クリームを人差し指ですくって、
カカシのほっぺにちょこっとくっ付けて、ぺろりと舐めた。
「う〜ん、やっぱ、“カカシのほっぺ”の方が甘いな〜!
今度は、カカシに食べさせてあげる。
はい、お口ア〜ン!」
二人は、交互にお口ア〜ンしあって、“赤いほっぺ”のケーキを食べ終えた。
「あっ、そうだ! みんなのプレゼント!」
カカシは、ゲンマたちのプレゼントを思い出し、バックから取り出して、持って来た。
「はい、先生、こっちがゲンマとアスマからだよ」
「何だろうね〜?」
幾つになっても、人からプレゼントを貰えるのは嬉しいものだ。
四代目は、わくわくしながら、黄色いリボンを解いた。
「へっ? 何、これ???
白いエプロンだよ! オレがこれしろって???」
カカシは、その大きなフリルの付いたエプロンに見覚えがあった。
「あっ・・・」
その表情を見て四代目も、意味が分かったようで、思わずニンマリと笑った。
(ゲンマ、アスマ、GJだよ!)
「へへへ〜 カ〜カ〜シ〜 じゃぁ、2月25日はこれでお願いします!」
「もぉぉぉ〜 ゲンマったらぁ・・・」
カカシは、顔を赤く染め、ほっぺをぷくっと膨らませた。
「こっちがシカクか・・・」
四代目がもう一つの小さな袋を 開けると・・・
それは、例のメイド風の娘がパッーケージに写っているアダルトDVDだ。
「ったくシカクったら・・・」
二人は、顔を見合わせて、ゲラゲラと大声で笑った。
「ぎゃぁぁぁ〜 」
突然、四代目が大きな叫び声をあげた。
「どうしたの? 先生」
「どうしよう・・・
アイツらの、明日の任務・・・
SSランクにしちゃったよ・・・
あれは、シカク班しか出来ないと思って・・・
そうだよ、カカシがいないのに、アイツらだけじゃ、ちょっとキツイかな?」
「じゃぁ、おみやげいっぱい買ってかなくっちゃね!」
「あぁ、おみやげだけじゃ済まないな・・・
プレゼントの御礼も兼ねて、焼肉でもご馳走してあげようっと!」
「アスマね、最高級国産牛のステーキが食べたいって言ってたよ」
「うん、ステーキでも、何でも、アイツらの好きなもの腹いっぱい食わせてやるよ!」
二人は、自分達をいつも暖かく見守ってくれる仲間に心から感謝した。
「さぁってと、オレもそろそろカカシを戴きますか!
えへへ〜 何の願いを叶えてもらおうかな〜?」
四代目はキラキラ輝く黄金の<カカシスペシャルカード>をカカシの目の前に、嬉しそうにひらひらと翳した。
「先生・・・」
カカシは、自分で決めたことだから、とっくに覚悟は決めている。
「何でもいいよ・・・ 先生の言うとおりにするからね・・・ オレ、頑張るから・・・」
「カカシィ〜」
四代目は、がばっとカカシを抱き上げて、スキップしながら、寝室へ向かった。
カカシをベッドに降ろして、耳元でそっと囁いた。
「オレの願いは・・・ ひとつだけ・・・」
四代目はカカシをぎゅっと抱きしめて、熱く甘いキスをした。
「オレも頑張ります」
「先生・・・」
「朝までね・・・」
翌日、火影執務室で、三代目から、任務依頼書を受け取ったシカクは、
思わずムっとなって、三代目に聞き返した。
「あの〜これ、本当にウチの班ですか?」
「あぁ、そうじゃ、間違いない」
「はぁぁ〜 有り得ねぇ・・・」
そう言って、額に手を宛て、依頼書をゲンマに投げつけた。
「うそだろ〜」
ゲンマもはぁっとため息をつき、アスマに依頼書を見せた。
「何だこれ・・・ 絶対今日は楽できると思ってたのに・・・」
三代目はにっこり微笑んで、
「ワシが決めたんじゃないからのぉ
まぁ、後で、美味いもんでも食わせてもらえ・・・
怪我しないようにな、気を付けて行って来い」
三人は、がっくりと肩を落として執務室を出て行った。
もちろん、数日後、最高級国産牛ステーキをお腹いっぱいご馳走してもらったことは言うまでもない。
カカシもゲンマとアスマに、ちゃんと先生に喜んでもらえたとの報告をした。
それを聞いてゲンマもほっと胸を撫で下ろし、しっかり、自分の誕生日プレゼントも
<カカシスペシャルカード>を貰うことを約束させたのだ。
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2007/3/2