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みかづき島の思い出   8
   

人の流れに乗ってゆっくりと歩いて、10分程で花火大会の会場の中央ビーチに着いた。
長く続いている大きな海岸には、もうすでに沢山の人でぎっちりと埋め尽くされ、座る隙間もない程だ。
それでも、構わず先生はオレの手を引いて、前へ前へとずんずん進んで行った。
 
「先生? どこまで行くの?」
「いいから、いいから、一番良い所で見るんだからさ!」
 
花火は海に浮かべられた大きな船から打ち上げられるようだ。
先生は、もう目の前まで波が打ち寄せているというぎりぎりの所まで歩いて行った。
さすがにこんな前に座っている人は誰もいない。
 
「えっ! ここで見るの?」
「ん! そうだよ! こんな近くで見たことないでしょ?」 
「大丈夫なの? こんな前で・・・」
 
カカシはちょっと心配そうに回りを見回した。
だって、こんな前で見る人はいないだろう。
たぶん、花火が上がったら、かなり近い。
 
先生は時計をちらりと見て、「そろそろ始まるかな」と言って、砂浜に腰を下ろした。
オレも隣に座ったけど、オレ達だけ、ぽつんと離れていて何だか不安になってきた。
突然、ドーンと音がして、花火大会の開始を告げる花火がしゅるしゅるっと上がった。
続いて、大きな花火が次々と打ち上げられていく。
あちらこちらから、「わぁ〜綺麗!」と、歓声が聞こえる。
 
「ちよっ・・・先生・・・」
 
カカシはびっくりして、思わず先生の肩に掴まった。
だって、まるで頭の真上から花火が落ちてくるようだ。
音も半端じゃない。
頭のてっぺんから足の先までじんじんと身体中に響いてくる。
足元のほんの1mくらい先に、火花が落ちてきた。
 
「すっごい迫力でしょ〜 どうせ見るなら一番近くで見なくっちゃね!」
 
先生は真上を向けていた頭を横にして、へへんと誇らしげにカカシを見た。
オレは自分達の上に火花が落ちてきやしないかとハラハラしながら、見ていた。
もう、何だか花火を楽しむ余裕なんてない。
少し怖くなって、思わず先生にしがみ付いてしまった。
 
「もしかして、カカシ、怖いの?」
「うん・・・ ちょっと・・・」 
「じゃ、ここはもういいや、場所を移動しよう」
「大丈夫だよ・・・ 先生・・・」
「我慢しなくていいよ、カカシ。 
最初から、ここで見るのは少しのつもりだったから。

さてと・・・ 今度はどの辺りがいいかな〜?」
 
先生は辺りをぐるりと見回して、「よし、決めた!」と言って、立ち上がると、オレの腕をぐっと引っ張って立たせてくれた。
 
「すみません」と言いながら、人と人の間を通り抜け、海岸の後ろの道路まで戻った。
そして、海岸とは反対方向へと歩いて行った。
先生は少し細い路地に入り、辺りに人がいないか確認すると、今度はオレを背中におんぶしてくれた。
 
「カカシ、ちょっと飛ぶからね、しっかり掴まっててよ!」
 
先生は素早く印を組み、屋根から屋根をぴょんぴょんと瞬身の術で移動し、あっという間に、海岸の向こう側にある小高い丘の大きな木の上まで飛んで行った。
 
「どう? カカシ、ここなら誰も来ないし、良〜く花火が見れるでしょ!
先生とカカシだけの特等席だね!」
 
先生は太い枝に腰を下ろし、膝の上にオレを乗せてくれた。
その場所は、丁度花火と同じくらいの高さで、目の前で花開くように花火が見える。
さっき海岸の一番前で見た頭の真上の花火とはまた違った迫力がある。
まるで、映画館の大きなスクリーンに映し出されるように綺麗だ。
カカシは、しばらく声も出せずに、呆然と、花火を見ていた。
 
「うわぁ・・・ 凄い・・・
こんなの初めて」
「カカシ〜、見て! ハートの花火だよ! しかもピンク色で可愛いね〜
さすがに、ハートは真下から見たら形わからなかったかもね」
 
次々と、豪華な花火がこれでもかと打ち上げられる。
月の国の繁栄と国王の在位を慶祝する文字入りの花火や、
長い海岸に仕掛けられたナイアガラの滝の花火や、
珍しい創作花火など、木ノ葉ではあまり見られないような花火もたくさんあった。
いつまで見ていても飽きないような花火ばかりだったが、夢のひとときはあっという間に過ぎて、花火大会の最後を締めくくる一段と派手な花火が鮮やかに打ち上げられた。
 
「あぁ・・・ もうこれでおしまいだね・・・」
 
先生とオレは名残り惜しそうに、最後の花火が夜空に消えていくのをずっとずっと見つめていた。
 
「ねぇ、カカシ、どっちが良かった? 真上と真横と?」
 
先生は、きっと、オレのために、今までに見たことないような所で見せてあげたかったんだろう。
オレにはそんな先生の気持ちがよく分かって、とっても嬉しくなった。
 
「どっちも! 最高だよ! 先生ありがとうね。
オレ、今日の花火のこと、一生忘れないよ!」
「先生も! カカシとここで見た花火、絶対に忘れない」
 
先生が後ろからオレの身体をぎゅっと抱きしめてくれた。
 
「そうだ! カカシ、先生この木に飛雷神の術式掘っておくね。
そしたら、また飛んで来れるし!」
 
先生は、オレを膝からそっと降ろすと、持っていた巾着からクナイを取り出して、木を掘り出した。
 
「てっ、先生、なんでクナイなんか持って来たの?」
「そりゃ、忍たるものいつ何時何が起こるか分からないでしょ!
可愛いカカシが誘拐されたら困るしね〜」
 
先生はけらけらと笑いながらさくさくと術式を掘っていった。
 
「よし! これでOK! 今度来る時は、船着場の手前のアクセスポイントからダイレクトにここまで飛んで来れるよ!」
「うわぁ、また来れるの?」
「そうだね・・・ 五年後の十周年の時も、きっとこの任務ありそうだし。
その時も、先生とカカシで任務を受けられるように、三代目にお願いしておこう。
あぁ、でもあの大きな船にはもう一度乗りたいよな〜」
「本当に来れたらいいね! 先生!」 
「その時は、カカシの飛雷神の術で先生をここまで連れて来てよね」
「え〜 オレが? そんなの無理だよ!」
「大丈夫! それまで先生がしっかり修行つけてあげるから!
じゃぁ、それまで消えないでね、みかづき島の術式!」
 
そう言って、先生は目を瞑り、もう一度、術式に願いをこめて触れた。
 
「さぁ、もう部屋に帰ろうか」
「うん!」
 
先生はにっこり笑って、オレの髪をくしゃくしゃと撫でて、背負ってくれた。
そして、まだ花火の煙と匂いが残る星空を二人で駆け抜けて行った。
 
翌日もビーチでのんびり海水浴を楽しみ、最終日には三代目や自来也先生にたっぷりお土産を買って、木ノ葉の里に帰還した。
 
先生とオレのみかづき島の任務は、たくさんの楽しい思い出と共に終わった。
 

                                                                              2007/11/5

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