Sacred Pierce 2
店の中に入ると、いかにも女の子が好きそうな可愛らしいアクセサリーが沢山並んでいた。
こんなお店に入ったことはないから、ちょっぴり恥ずかしい。
確かこの辺りを見てたな・・・
さっき3人が見ていたガラスケースを覗くと、そこは何と指輪のコーナーだった。
(マジかよ・・・ ったく、アスマったら、あんな若い内からこんなものいいのか・・・?)
指輪なんて贈る相手がいるのだろうか。
オレはびっくりして、ちょっと心配になった。
そんなことを思いながらガラスケースの中の指輪をまじまじと眺めていたら、
「いらっしゃいませ。 プレゼントですか?」と、にこやかに女性の店員が近づいて来た。
「あぁ、いえ・・・ ちっ、違います・・・」
「お客様のですか? それでしたら、男性用はあちらのコーナーになりますけど」
手で指し示された方を見るとなるほどそこだけ男性の店員が立っていた。
折角案内してくれたのに、お店を出るのも悪いなと思って、「どうも」と言い、男性用コーナーの方にゆっくりと歩いて行った。
男性店員の目の前に立ったら、思わずその人の耳に目が釘付けになってしまった。
大きな大きなピアスがゆらゆらと揺れている。
白いシャツの胸元からはこちらも大きな大きな赤い石のネックレスが見えた。
そして指には、何の石だか名前は分からないが、カラフルな指輪がたくさんはめられ、腕にはブレスレットをじゃらじゃらと。
全身これでもかという程のアクセサリーを付けているのに、全然いやらしくないのは、上品な顔立ちのせいだろう。
さすがジュエリーショップの店員だなとオレはつくづく関心して見惚れていた。
その店員は柔らかく微笑み、「何かお探しですか?」と、オレに言った。
ゆらゆら揺れるピアスを見ていたら、何だか不思議な気持ちになってきた。
あぁ、カカシがこんなピアスを付けたらどんなに可愛いだろうと思わず想像してしまった。
まぁ、任務にはとてもしていけそうにもないけどね。
その店員は、ぼ〜っとしたまま何も言わないオレを不思議そうに見て、
「ピアスがいいの?」と尋ねた。
(ん! 決めた! カカシのクリスマスプレゼント!)
オレは後ろのポーチからカカシの写真を取り出して、ガラスケースの上にどんと置いた。
「オレとこの子のピアスを!」
「へぇ〜 可愛い子だね」
その店員は写真を手に取り、カカシとオレを交互に見て、それからピアスが並んでいる場所に移動した。
オレも店員さんの前に動き、一緒にガラスケースに入ったピアスを見つめた。
そこにはいろんな形のピアスがたくさん並んでいた。
店員さんはちらりとオレの耳を見て、
「初めて?」と、聞いてきた。
「うん、オレもこの子も」
「そっか、 じゃぁ・・・」
店員さんはガラスケースの中から、いくつかのピアスを取り出してくれた。
そして、その中の一つをオレの耳にそっと当ててくれた。
前に置いてくれた鏡を覗きこむと、小さなピアスがキラリと光った。
あぁ、いい感じ! とってもカッコイイ!
「どう? 初めてなら、やっぱこのシンプルなボールタイプのがいいかな。
これがゴールドでこっちがシルバーね。
お客さんもそのお友達もとっても綺麗な髪してるからね〜
どっちもお二人に良く似合うと思うよ。
お友達はまだ小さそうだから、両耳より片耳の方がいいな」
「片耳だけ?」
「そう、二人で一個ずつすれば、ペアーになるでしょ」
「そっか、 ん! それいいかも!」
「たとえば、オレだったら・・・
両方買う。 そしたら、色違いでしてもいいし。
同じ色でお揃いにしてもいいし。 気分によって、変えられるでしょ?
まっ、色々とね、面白いかも」
そう言って、店員は意味ありげにパチリとウインクをした。
店員さんの話を聞いてたら、何だかワクワクしてきた。
オレとカカシの髪の色に似合うと言われて嬉しかったし。
もちろん、同じ色をしてペアーってのもいいかな。
オレがシルバーでカカシがゴールドにして互いの色を付け合うのも嬉しいなとか。
あぁ、そうだ、この色の日はこうだとか、何かのサインに使えるかも。
うんうん、絶対いい! これに決めた!!!
「じゃぁ、それお願いします。
えっと、穴はどうやって開けるの?」
「まぁ、自分で開けられないこともないけど、ばい菌とか入ったら大変だからね。
ちゃんと病院で開けてもらった方がいいですよ」
「そっか、病院ね」
「只今プレゼント用にラッピングしてまいりますので少しお待ちください」
店員が頭を下げ、店の奥に入って行った。
(綱手様のとこ寄ってくか・・・)
しばらくすると、店員が小さな箱を手に戻って来た。
真っ赤なクリスアマス用の包装紙にどっちか分かるようにそれぞれ金色と銀色のリボンがかけられていてとっても可愛いらしかった。
支払いを済ませ、店を出ようとすると、
「頑張ってね! 今度はお二人で是非来てくださいよ!」と、にっこり笑って声を掛けてくれた。
オレは自分でも顔がカァっと熱くなったのが分かった。
「ありがとう」と、お礼を言って店を出た。
何も買うつもりはなかったのに、気が付いたら商売上手な店員さんにしっかり買わされていたけれど、何か新たな発見をしたよう感じ、うん、とっても良い気分!!
今度はピアスを着けたカカシと一緒に来て、あの店員さんに見せてあげたいと思った
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2007/12/5