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桜の約束   6
   

「ねぇ、 カカシ・・・ もう一つ約束して欲しいことがあるんだけどな・・・
まっ、約束というよりか、どっちかと言うとお願いって感じなんだけどさ」
「何? 先生」
 
四代目の胸に埋めていた顔を上げると、神妙な眼差しでカカシを見つめていた四代目と目があった。
 
「もし・・・ オレが死んだら・・・
まっ、どんな死に方するか分からないけど・・・
もし、骨が少しでも残ったら、この桜の木の下に埋めてくれる?」
 
突然何を言い出すのかと思った。
カカシはびっくりして、身体を起こして、思わず大きな声を出してしまった。
 
「先生が・・・ 死ぬなんて! そんなの・・・ そんなのイヤだ!」
「ごめん、ごめん。 そんな怒らないでよ。
でもさ、いくらオレだって、不老不死ってわけじゃないでしょ。
年を取って、おじいさんになればいつかは死ぬんだから。 
そうなったらってことだよ。
順番からすれば、当然オレの方が先なんだし。
冷たいお墓の中よりも、この桜の下で寝た方が気持ちいいかな〜
なんて、さっきカカシを抱きながら、ふと思ったんだよ。
ほら、よく海が好きな人は海に散骨して欲しいって言うじゃない。
オレはここの桜が大好きだから、ここで土に還りたいって思ってもおかしくないでしょ」
「先生が・・・!?」
 
カカシは四代目の未来を想像して、思わず笑みが零した。
 
「あ〜 カカシったら、もしかして、今オレのおじいさん姿想像したな〜?」
「えっ・・・ そんなことないよ・・・」
「こらこら、とぼけちゃって。 じゃぁ、オレも・・・ 
っていきなりカカシおじいさんは想像できないけど・・・
今のオレくらいのカカシは・・・
どうだろ・・・ オレより背が大きくなってるかもね・・・   
うんうん、絶対カッコイイだろうな〜
でもって、二人共・・・ 歳をとって・・・
カカシだったら、おじいちゃんになっても可愛いな〜 きっと!
カカシ、幾つになっても、ずっとず〜っと二人でここにお花見に来ようね〜」 

四代目は遥か先の事に思いを巡らせ、二人の年齢を足しながら大人になったカカシを想像して楽しんだ。
 
「先生、じゃぁ、オレも死んだらここに埋めてよ」
「何言ってんの! カカシがオレより先に逝くなんてこと、絶対させないよ!」 
「じゃぁ、オレ約束しない」
「もう、カカシったら。 分かった、分かった。
絶対に有得ないけどもしもそうなったとしたら、ちゃんとここに埋めてあげます。
それならいいでしょ?」
「うん!」
「じゃぁ、ゆびきりしよう!」
 
二人は、小指を絡めて、にっこり微笑んだ。
 
「桜の約束、カカシ宜しくね!」
「先生もね」 
「あ〜 何か身体動かしたら、お腹空いちゃったな〜
カカシ、おにぎり食べようよ〜!」
「ぷぷっ・・・ もう・・・ 先生ったら〜」
 
カカシは可笑しくなって吹き出して笑った。
   
 
この時、二人は・・・
まさかこんなにも早く桜の約束を果たすことになろうとは、
これっぽっちも思っていなかった・・・
 
  

                                                           2007/5/17

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