共戦共生 共誓共願 2
カカシのことはさ、そりゃもう生まれた時からずっとずっと見てきた。
初めて生まれたばかりのカカシを見た時のことは鮮明に覚えているし、この腕に抱いた感触は今でもはっきり残っている。
この世にこんな可愛い赤ちゃんがいたのかって、すごくびっくりして。
あの瞬間にカカシをオレの弟子にするって決めたんだ。
それから、カカシが歩いて・・・ しゃべって・・・
アカデミーに入った時も。
あっという間に下忍になって、願いが叶って、オレの班で一緒に組むようになった時も。
サクモさんが亡くなって一緒に暮らすようになってからは、それはもう毎日必死だった。
いつだって、オレの頭の中はカカシでいっぱいだった。
カカシと何して遊ぼうか。
カカシに何を教えてあげようか。
カカシを中心に毎日が過ぎていった。
カカシがすべてだったんだ。
カカシのためにもっともっと強くなりたいと思ったし。
どんな辛い任務だって、カカシの笑顔を思い浮かべてすれば辛くなかったし。
カカシに早く会いたいと思って帰れば、どんな身体が疲れていても物凄いスピードで飛べたし。
カカシを喜ばせるためにオレには何が出来るかって。
カカシの幸せのためにオレには何が出来るかって。
そんなことばっかり考えていた。
カカシのために生きてきた。
そう・・・
オレの人生はすべてカカシのためにって言ってもいいくらいで、
カカシがいたから成長できたし、今の自分がある。
だから、何て言うんだろう・・・
この気持ち・・・
確かに言葉で言うと“好き”以外の言葉では当てはまらない・・・
だけど・・・
それは、恋とか愛とかいう言葉にも当てはめることも出来なくて・・・
う〜ん・・・ 何かもっともっと超越した感じなんだよね。
自分でも分からないことをカカシに伝えられるはずもなく、
胸の内に大事に大事に封印しておいたけど・・・
それも、段々封印が弱まってきたみたい・・・ 日に日に思いは大きくなって・・・
カカシがオレのことどう思っているのかとか。
ついついそんなことばっかり考えてしまう・・・
カカシに触れたい・・・
カカシを抱きしめたい・・・
オレがこんな風に思ってるなんて、カカシが知ったら・・・
カカシは何て思うだろう・・・
でも、このまま我慢してたら・・・
大きな大きなこの想いがいつかきっと爆発しそうで・・・
あぁ・・・ どうしたらいいんだ・・・ オレ・・・
カカシの天使のような寝顔を見ながら・・・
そんなことを悶々と悩んでいては眠れない日がもう一年も続いていた。
カカシの髪を撫でて・・・
カカシの唇にそっと唇を近づけて・・・
触れそうで触れられない・・・
あとほんのちょっとというところで、顔を離した。
この1cmの距離には、
目には見えない大きな大きな壁がそびえ立っているんだ。
「ごめん・・・ カカシ・・・ これからまた出かけてくるよ・・・」
返事は返ってこないと分かっていても、そう告げて、小さなメモに書置きを残し、
オレは溜まった熱を開放しに、窓から闇の空に飛び出して行った。
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2008/3/4