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 天空の王子と時を翔る将軍    4

   


サクモの心が定まった時、後方から、突然、
「父様!」
と、カカシ王子の呼ぶ声がした。
サクモが振り返ると、カカシ王子が走って近寄って来た。

「カカシ!どうして、こんなところに来たんだ? 地下に避難していなさい!」
「父様、僕も、僕も戦いたいです!皆が、木ノ葉を守るために戦っているというのに、王子が逃げるなんて・・・」
「九尾を甘くみるな!これだけの軍で攻撃しても、まるで歯が立たなかったのだ。
お前が加わったところで、何の役にも立たないだろう。
何、心配するな。父様に任せておきなさい。
さぁ、早く地下に戻って・・・」
と言ったサクモの言葉をカカシが遮った。
「父様!何も出来ないのなら、せめて、父様の戦いを見せてください。
自分の身は守りますから。
今後のためにも、九尾というものが、どれほどの魔物か、見ておきたいのです!」

その真剣な眼差しに、これ以上カカシを止めても無駄だろうと思ったサクモは、いずれは、木ノ葉を背負って立っていかなくてはならないカカシに、自分のとっておきの魔法を見せるのも、意味があることと判断した。

「分かった。シカクを護衛に付けるから、シカクから離れるな。絶対に攻撃には参加しないこと。
よいな?」
「はい!父様、ありがとうございます」
「よし、ミナトとシカクをここへ呼べ!」

すぐに、ミナトとシカクが、サクモの前に跪いた。
サクモは、何も言わず、目線で二人を近くに呼び寄せた。

「シカク、カカシに、私の戦いを見せてやってくれ。
カカシが何と言おうと、後方から見るだけだ。
絶対に攻撃には参加させないこと」
「承知しました」
「ミナト、私が最前線に出る。
お前は私に付いて、援護をしなさい。九尾にスロウが掛かるまで、何度でも、掛け続けるんだ。
私は、覚悟を決めた。たとえ、この身が飛ばされようとも、九尾に、サンダガを掛けてみせる。
必ずな」

黒魔法の使い手であるミナトでさえ、サンダガはまだ使えないのだ。
そのレベルがいかに高いかを知っているからこそ、ミナトには、サクモの覚悟の程を十分に察することができる。
ミナトは、黙って頷くことしか出来なかった。
「必ずやってみせるさ。木ノ葉を守るためには、もうこれしかない」
そう言って、サクモは立ち上がり、カカシの肩をぽんと叩き、目と目を合わせて頷いた。

「さぁ、カカシ、行くぞ!私の魔法を、私の戦いをしっかりとその目に焼き付けておくのだよ」


ゴオゴオと唸るような呻き声をあげて、九尾の妖狐が暴れていた。
この世のものとは思えないような禍々しい空気が空を覆っていた。
カカシは、思わず、目を覆い、シカクの後ろに身を隠した。
身体中が金縛りにあったように、ぶるぶると震えだし、一歩も動けなくなった。

「あれが・・・九尾の妖狐・・・父様・・・」

想像を遥かに超えた大きさに、そして、それに立ち向かおうという父サクモに、余りの恐怖で、呼吸をするのも苦しくなってきた。
思わず前に立っているシカク副将軍のマントの裾を握り締めていた。
「シ・・・シ・・・シカク・・・」
搾り出すようにやっと声を出し、シカクの名前を呼んだ。
シカクは、カカシの方に向き直し、跪いた。

「王子、その目で、国王陛下の戦いをしっかりとご覧になってください。
これが、民のため、最前線に一人立つ、国王たるものの、真のお姿なのですから」
「はい、シカク副将軍」
こくりと頷いたカカシの目には、今にも溢れそうに涙の雫が溜まっていた。
「父様・・・」
カカシは目を瞑り、心の中で祈りを捧げた。
そして、今度はしっかりと目を見開き、巨大な九尾の妖狐とそれに立ち向かう父の姿を目に焼き付けた。

「サクモ国王がいらっしゃるまで、足止めをかけろ!」
すべての方角から、城下の軍に命令の言葉が伝わり、兵士達は、出せる限りの攻撃を仕掛けた。
ミナトは、目を瞑り、呼吸を整えて、低い声で魔法の詠唱を始めた。

「スロウ!」

しかし、何度唱えても、九尾の妖狐の動きが遅くなることはなかった。

「申し訳ありません。もう一度、掛けてみます」
汗を吹き飛ばしながら、ミナトは、魔法を掛け続ける。
しかし、九尾の妖狐は、何の変化も見せずに、じりじりと確実に城に近づいて来ている。
兵士達の攻撃だけでは、もはや、その歩みを留めることは不可能だった。
このままでは、城内への侵入も時間の問題だ。
サクモは、これ以上、スロウが掛かるのを待つことは、出来ないとの判断を下した。


                                                           2009/6/6

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