「カカシィ〜おかえり〜!」
任務から戻ったカカシは、いつものように四代目から熱烈な抱擁&ボデイチェックを受け、大人しく腕の中に納まっていた。
いつも、たっぷりと時間をかけて身体全身、入念なチェックをする四代目だが、今日はちょっと短め。
しかし、カカシはそれを喜ぶことはない。
大概の場合、その後に、何かしらのことが起こる確率が極めて高いのだから。
そして、カカシの予想通り、四代目は背中に両手を回し、何か隠し持っているようだ。
「カカシ、今日は何の日だか知っている?」
「2月・・・27日ですよね・・・
27日か・・・聞いたことないけどなあ・・・」
「えっへん、今日はね、オレとカカシの日なんだよ〜!」
四代目は満面の笑みを浮かべ、嬉しそうにカカシを見つめた。
「先生と・・・オレの日?」
四代目の言っていることが、何が何だか理解できずに、カカシは不思議そうな顔で小首を傾げた。
「そ!オレとカカシの日!
2月27日はね、『絆の日』なんだってさ〜
今日の新聞に書いてあったんだよ!」
「『絆の日』って・・・?』
「うん、丁度、バレンタインデーとホワイトデーの真ん中でしょ。
恋人同士の絆を強める日なんだってさ!
『絆』は、元々、『綱』の意味からきているんだってさ。
綱手様の『綱』ね。
ツー ・ ナナで27日なんだって。
ま、ちょっと無理があるけどさ」
ちょっとどころか、かなり無理があるだろうと思うカカシだが、四代目の嬉しそうな顔を見ていると、
決して、そんなことは言えない。
「『絆』っていう字は、糸へんに半分と書くだろう。
恋人同士が、互いに半分ずつの糸を結び合う、心を通い合わせるっていう意味なんだって!
ちょっとロマンチックじゃない!」
「う、うん」
「って、ことで、これを結ぼうよ」
突然、にこりと笑って、四代目は後ろに隠していたものを前に出して、カカシの目の前でぶらぶらとさせた。
それは・・・
二本の真っ赤な注連縄だった。
「先生・・・これを・・・?」
「ん! オレとカカシの絆を結ぶんだ。
赤い糸より、もっと太いのがいいと思ってさ。ね。
はい、こっちがカカシの」
そう言って、四代目はカカシに真っ赤な注連縄を渡した。
「さ、続きは向こうでね」
四代目はカカシの手を引き、執務室の隣の寝室へと向かった。
「先生、ちょっと、何で向こうなの?」
「そりゃあ、恋人達が『絆』を深める大事な儀式だよ。
こんなところじゃあ、できないでしょ!」
カカシには、この後起こるだろうことが全てわかった。
しかし、断るという選択肢をカカシは持っていない。
何をされても、受け入れることしか許されない。
でも、カカシは決して嫌ではないのだ。
四代目の喜ぶ顔が見られるなら、その方が嬉しいことなのだから。
「あ、あの、オレ、風呂も飯もまだなんだけど・・・」
「そんなの後!後!さ、早く注連縄持って!」
四代目は左手に注連縄を持ち、右手で器用に暗部装束を解いていく。
「この注連縄は・・・?」
カカシは、もの凄く嫌な予感がした。
「今日は、これを結びながらしようね〜!
いいかも!ちょっと燃えそう〜」
「先生、何か悪いことたくらんでない?」
「さ、カカシ、結ぼう!オレ達の『絆』を!」
四代目が注連縄を差し出し、カカシも前に出して、四代目の注連縄に重ねた。
が・・・
「え、あれ? ちょっとカカシ、そっちをここに回してよ!」
「ここに通せばいいんだよね?」
しかし・・・
何度やっても、
太くて、うまく結べなかった。
「うわ〜ん、どうしよう!
オレとカカシの『絆』が結べないなんて!
そんなの嫌だ〜」
必死の形相であーでもない、こーでもないと言いながら、注連縄を結ぼうとする四代目。
何だか、可哀想になってきた。
「先生、そんなことしなくったって、オレ達の『師弟の絆』は、深く強く結ばれているでしょ!
この注連縄よりも、早く先生と繋がりたいよ・・・」
「カカシ!もう、なんて可愛いこと言ってくれるの!
そうだよね! そうこなっくちゃね、さすが〜、カカシ!」
とびっきりの笑顔で、四代目はカカシを強く抱きしめた。
「じゃ、『師弟の絆』を、結ぼうね!」
あっという間に身包み剥がされたカカシは、頬を真っ赤に染めながら、四代目の胸に埋もれた。