LOVE NOTE 5
お笑い番組も終わって、オレはゲンマにも見えるようにわざと時計を見て、声を掛けた。
「ゲンマ・・・ そろそろ」
「ん? カカシ、オレを追い出そうってのか? ゲームでもやろうぜ」
「あっ・・・ いや、そうじゃなくって・・・ 明日までの宿題が結構出てるんだよ」
「何だよ、オレが手伝ってやろうか?」
「だっ、大丈夫だよ・・・」
「カカシ、今日、何かお前おかしいぞ!」
やっぱ具合悪いんじゃないか?
熱でもあるのか?」
そう言って、ゲンマがカカシの額に手を当てた。
「いやっ・・・」
カカシはびっくりして、ゲンマの手を思わず振り払ってしまった。
そんなカカシの行動にゲンマも驚いて・・・
「カカシ・・・」
「ごめん、ゲンマ・・・ 本当に何でもないんだ。
ここんとこ、部活と宿題がキツくって・・・
ちょっと睡眠不足なだけだよ」
「カカシ、何か悩んでいるなら、何でもオレに相談しろよ!」
「うん、ありがとう・・・」
(って、原因はゲンマなんだから、言えないでしょ・・・)
「カカシ・・・」
ゲンマが、ふぅっと大きく息を吐いた。
「オレ・・・」
こんなゲンマの顔は今まで見たことがない・・・
何か切なげで・・・ 何か辛そうな・・・
「もう・・・ ダメだ・・・
カカシのそんな顔見てたら・・・」
そう言いながら、ゲンマの顔がゆっくりとカカシに近づいてくる。
「オレ・・・ もう・・・ 我慢出来ないよ・・・」
「えっ・・・!?」
(うわぁ〜 何!? ゲンマったら・・・ まっ、まさかね・・・ 違うよね・・・)
オレは心臓がドドキドキしてきた。
ゲンマは目を瞑り、もう一度、大きく息を吐いた。
そして、何かを決心したかの様に、きっぱりと目を見開き・・・
「カカシ、これからオレが言うことは・・・ その・・・ 真剣な話だから」
ゲンマはじっとカカシを見つめた。
「オレ・・・ お前のことが好きだ。
前からずっとずっと好きだった。
今までは自分の気持ちをカカシに伝える勇気が無かったけど・・・
でも、今日のカカシを見てたら・・・
何か心配で心配で・・・
オレが護ってやらないとって思った。
もう、オレはこの気持ち隠さない。
カカシ、大好きだよ・・・」
ゲンマはカカシの肩を抱き、ゆっくりと顔を近づけてくる。
「ちょっ、まっ、待ってよ・・・」
ゲンマの手に力が入り、ぐっと身体を押された。
抵抗するも、力では敵わない。
「カカシ・・・ 好きだよ・・・
好きで好きで堪らない・・・」
「ゲンマ〜 その・・・」
(違うんだよ! これはゲンマの本心じゃないんだ!
あの変なノートのせいなんだ!)
その時、ソファーにちょこんと座って笑っているファムと目があった。
ノートのことを言っちゃうぞ〜と、声に出さずに叫んだ。
ファムは首を振って、「ダ〜メ!」と笑った。
「カカシ、オレの家族にも、お前の親父さんにも、本当のこと言うから・・・
なっ、オレ達のこと認めてもらおうぜ!」
「なっ、 何でそうなるの・・・」
「今日からオレとカカシは恋人同士な!
カカシは、もうオレのものだから・・・ 離さないよ・・・」
ゲンマの顔がどんどん近づいてくる。
オレは歯を食い縛り、ありったけの力を込めて、ゲンマの身体をぐいっと押した。
「おぃおぃ、 カカシ?」
身体を押されて戸惑ったゲンマは一瞬力が抜けた。
その時、カカシはゲンマの下からするりと身体を抜き出すことが出来た。
「カカシ、逃げるなよ〜」
ゲンマはカカシの腕をぎゅっと握り締めた。
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2008/1/10