LOVE NOTE 7
それから、数日は、ゲンマも何事もなかったように接してくれた。
あれ以来、迫られるようなこともなかった。
ファムは相変わらず煩くって、我侭ばかり言っているけど、学校にいる間は静かにしてくれるように頼んだから、とりあえず勉強には集中出来るようになった。
それに、意外と物知りで、カカシが苦手な物理なんかで躓いていると、
「それはこの公式に当てはめろ」なんて教えてくれたりする。
あれから、ゲンマのことはあんまり考えないようにしてた。
ファムも何も聞かなかったし、特にどうしろと言うこともなかった。
でも、さすがにいつまでもこのままで良いとも思えない。
学校から帰り、ベットにごろりと寝転んで、天井を見上げながら、カカシはちゃんと
ゲンマのことを考えてみようと思った。
小さい頃から、ゲンマのことはお兄さんの様に慕っていた。
遊びも勉強もいろんなことを教えてくれた。
ずっと一緒にいたかったから、同じ中学も受けたし。
部活だって、ゲンマと同じ部を選んだ。
困ったことがあれば、いつもゲンマが護ってくれた。
優しくって、カッコよくって、憧れの存在だった。
でも、急に「好き」って言われても・・・
そういえば、今までゲンマから好きな子がいるとか、彼女が出来たなんて話は聞いたことなかったっけ・・・
野郎ばっかのムサイ男子高にいて、普通、年頃の男子の話といえば、女の子のことばかりなのに。
まぁ、出会いというものなんてなかったから、オレも好きな子なんて出来なかったし、それに彼女が欲しいとも思わなかったし。
これっておかしなことなのかな・・・
でも、どうだろ・・・
もしも、今ゲンマに彼女が出来たら・・・
オレは一瞬、女の子と歩くゲンマを頭に思い浮かべた。
それは・・・
イヤだ・・・
とっても・・・
イヤだ・・・
ゲンマに彼女が出来るのは、
絶対にイヤだ!!!
想像しただけで、心臓がざわざわしてきた。
ずっとオレの側にいて欲しい!!!
何だろう・・・?
この気持ち・・・
毎日当たり前のように一緒にいたから、分からなかったけど・・・
もしかして・・・
もしかすると・・・
これって・・・
これが人を好きってことなの・・・?
オレが・・・
ゲンマを・・・???
でも・・・
やっぱり・・・
こんな風に思うのは、
ファムの変なノートのせいなの・・・?
カカシはくすりと笑った。
そして、大きく首を横に振った。
ううん!
そうだよ!
ファムの力なんかじゃない!
オレが・・・
オレ自身が決めたことだ!
カカシは晴れ晴れとした表情で頷いた。
うん! 明日、ゲンマにちゃんと自分の気持ちを伝えよう。
翌朝、いつもの時間に、いつものように、ピンポ〜ンとチャイムが鳴ってゲンマが迎えに来た。
オレはネクタイをきりりと締め、「よしっ!」と、ホッペを叩いて、ドアを開けた。
「おはよ〜 カカシ!」
「おはよ、ゲンマ。
ねぇ、今日、夜ご飯食べに来てよ。
明日、休みだから、その・・・ ゆっくり出来るし・・・」 ゲンマもカカシが何か言いたげなのは分かった。
もしかしたら、返事が聞けるのかなとの期待も少しあった。
「じゅあ、何か映画のDVDでも借りて帰ろうな。
よ〜し、何がいいかな〜?」
ゲンマとカカシはにっこり笑って歩き始めた。
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2008/1/16