木ノ葉隠れの里・バレンタインデー頂上決戦! 完
それから、ゲンマとカカシは皆に気づかれないように、そっと店を出た。
外は凍えるような寒さだったけど、ちょっと入ったお酒とシカク隊長の暖かさに触れて、身も心もぽかぽかだった。 猛ダッシュでカカシの家まで飛んで帰った。 そして、ベッドに直行だ。 カカシの肩を抱き寄せ、耳朶にキスをする。 「最高だよな、シカク隊長」 「うん、みんな大好きだよ」 「気をつけないと、オレ達こともバレてるかもな。 あの人、そういうとこ、鋭いから」 「オレは、別にいいんだ」 カカシが小さな声で囁いた。 「オレはゲンマのこと好きだって、知られてもいい」 今度はきっぱりと言ったカカシは、ゲンマの胸に頬を寄せた。 「カカシ・・・」 ゲンマは、カカシをぎゅっと抱きしめた。 「ありがとうな。もう何もいらないよ。 その言葉だけでいい。最高のバレンタインだ」 「わ〜そうだ!チョコ!チョコ!」 カカシはぱっとゲンマから身を離すと、胸の巻物ポケットのボタンをぱちっと開けて、中からするりと細長い箱を取り出した。 丁度巻物くらいの大きさで、綺麗にラッピングされ、赤いリボンがかけられている。 「はい、オレからゲンマにチョコレートあ・げ・る!」 「さんきゅ、カカシ! 開けてもいい?」 「うん、一応ね・・・ オレの・・・手作り・・・」 「えぇ〜?カカシの!?マジで?」 「あ、その・・・手作りって言っても、チョコ溶かして・・・ くっつけただけっていうか・・・」 カカシは、恥ずかしくって顔を両手で覆ってしまった。 ゲンマがリボンを解いて、丁寧に包装紙を取った。 中の箱を開けると・・・ 「え・・・・???」 ゲンマは、そっと手を入れて、端っこを摘んだ。 「あの・・・」 恐る恐るカカシが手の隙間から、ゲンマを見ると・・・ どろどろに溶けたチョコポッキーのような・・・ものを持っていた。 「わわわ〜 溶けちゃったの?」 カカシは慌てて、ゲンマの持っていた箱を取り上げた。 「ごめん、明日、もう一度作り直すから!!」 カカシは、料理のヘタな自分では、まともなチョコなんて作れそうにもないけど、チョコを溶かして、ポッキーにつけるくらいなら、自分にでも出来るのではないかと思ったのだ。 ビターチョコとホワイトチョコといちごと頑張って3種類も作った。 ゲンマへの思いをこめて。 「いいよ、折角カカシが作ってくれたんだからな。食べるよ」 チョコポッキーは、わざわざ作らなくたって、たくさんの種類が売っているというのに、敢えて、手作りしてくれたこと。 そして、カカシが大事に大事に胸ポケットにしまっておいてくれたから、こんなに溶けちゃったのかと思うと、ゲンマは嬉しくて堪らなかった。 「あ、あの・・・ゲンマって、いつも千本咥えているから・・・ その・・・ポッキーとか似合うかなって・・・思ってさ」 そのあまりにおかしな理論も思い込みもカカシらしくて、可愛いらしいったらありゃしない。 ゲンマは、もうすぐにでも押し倒したいほど、身体の中心に熱が一気に集中してきたのを感じたが、ここはカカシのチョコを食べなくてはと必死に堪えた。 「なぁ、カカシ、ポッキーの正しい食べ方って知ってるか?」 「え・・・そんなのあるの?」 「ほら・・・オレがこっちから食べるから、カカシもそっちを咥えて」 「え・・・こう?」 所謂恋人達が両側から食べるってあれだ。 カカシが小さい口をもぐもぐとして、ポッキーを食べる姿のなんと愛らしいことか。 溶けたチョコが、口に回りにちょっとついて、さらにえろチックだ。 (ヤバイだろ・・・もう、我慢できねぇ・・・) 二人の距離が縮まって、ポッキーが互いの口に中に全部収まった。 ごくりとポッキーを飲み込んで、さらに、ゲンマはカカシの柔らかい唇を貪り食らった。 ちゅっちゅっとカカシの口の周りについたチョコも味わう。 「あぁ、カカシのチョコは最高に甘いよ!」 「ん・・・うふ・・・本当に?美味しかった?」 「ありがとう、もう、メチャクチャ美味しかった。ホワイトデーも楽しみにしてろよ!」 「うん・・・」 ゲンマはカカシをぎゅっと抱きしめて、ベッドに押し倒した。 「ダメ〜!ダメだよ!ゲンマ!ちょっと・・・イヤ・・・」 「どうして? 恋人達のバレンタインだろ?」 「ああああ・・・ お願い・・・待って・・・」 「オレ、もう待てない!」 「だって・・・だって・・・」 「だって、何だよ?」 「オレ・・・く・・・」 カカシは、もぞもぞと身体をよじり、ゲンマの腕から逃れようとしている。 「どうした?カカシ?」 「オレ・・・何か・・・焼肉臭くない?」 「ぷっ・・・カカシたら・・・」 「先にシャワー浴びさせて」 「オレには、チョコの甘い匂いしかしなかったけどな。 カカシが気になるなら・・・ いいぜ!一緒に浴びてこよう!」 ゲンマは、ぱっとカカシを抱き上げて、バスルームに向かった。 甘い、甘〜い恋人達のバレンタインデーの夜は、もう一瞬も我慢出来なかったゲンマがバスルームから初めてしまったとさ。 Happy Sweet St. Valentine's Day ! |
2009/2/18