お願いだから・・・ 2
アイツは器用にぱっぱっとオレの服を引き剥がしていった。
「まっ、オレからお願いしてるんだから、シカクが上でいいよ。
このくらいはサービスしなくっちゃね」
そう言って、アイツはニヤリと笑って、突然オレのモノを咥えやがった。
「ちょっ・・・ 待て・・・ おい・・・ はぁっ・・・ あぁ・・・」
「オレじゃぁ、勃たないとは言わせないよ」
「へっ・・・ はぁっ・・・ ふっ・・・ ん・・・」
(まったく、何でこんなことに・・・
しかし、アイツが抱かれたいってことは、好きな人ってやっぱ年上なのかな・・・?)
なんて事を考えていたら、
「ちゃんと集中してよね」と、怒られた。
忍なんて稼業やってれば、そりぁ男を抱いたり、抱かれたりなんてことは珍しいことでもないし、ましてや暗部なんて入っていれば、そんな任務だってある訳で。
オレはどっちでも大丈夫だったけど。
しかし、まさか親友を抱くことになるとは思ってもみなかった。
それからというものの、アイツは週に一〜二度、夜中にぷらっと来てはオレに抱かれていくようになった。
教え子と一緒に住んでいるから、決して泊まることはない。
事が済めば、さっさと帰る。
ちゃんと連絡入れろと何回言っても、アイツはアポなして突然来やがるから、お陰でオレは女の子を部屋に連れ込むことも出来なくなってしまった。
でも、まぁ、アイツの抱き心地は思ったより良くて、いつのまにか気持ちよければそれはそれでいいかななんて思うようになっていた。
そんな奇妙な関係が一月程続いたある晩のこと、
オレはついにアイツの愛しい人の名前を知ることになったんだ。
それは、アイツがイク寸前・・・
オレは確かにその人の名前を聞いた。
少し似ているといえば似ているんだが、あれはオレの名前ではなかった。
絶対聞き間違えではない。
アイツはオレの腕の中で・・・
「あぁっ・・・ もぉ・・・ イクッ・・・
んん・・・ ・・・ カ・・・ シ・・・ 」
「いいのか・・・?」
「うん・・・ あぁん・・・
・・・ カ・・・ シィ・・・
あぁぁぁ・・・ 」
(へっ? おい、今 何て言った・・・???)
溜まっていた熱を解き放ち、はぁ〜っと、大きく息を吐いたアイツは、
「サンキュ、シカク」
と、言って、ベットから降りた。 恋人同士ではないから、余韻に浸るも何もあったもんじゃない。
直ぐにシャワーを浴び、リビングに戻ってビールを冷蔵庫から取り出した。
すっきりした顔で上手そうにビールをごくりごくりと飲むアイツの前に座って、
オレは言ってやったんだ。
「分かったぜ〜 オマエの愛しい人!」
アイツは、飲んでいたビールをプーっと吹き出した。
「ぐふぉっ・・・ げっ! なっ、何で?」
少しむせて、胸をさすりながら、びっくりした顔でオレを見つめた。
「だって、オマエ、さっきイク時に、その人の名前呼んでたぜぇ〜」
「えっ! そっ、そんな・・・ それはないよ・・・ そんなことは・・・」
顔を真っ赤にしながら、段々声が小さくなっていった。
「い〜や、あれは絶対オレの名前じゃなかったぜ」
「ごめん・・・ 」
「別に謝ることはねぇよ、どうせ最初から誰かの身代わりだったんだし。
まぁ、確かにあの子じゃ抱けねぇなぁ・・・」
アイツは恥ずかしそうに顔を両手で覆った。
「で、いくつだ?」
「まだ、十だよ・・・」
「そっか、まだそんな歳か・・・」
アイツはそっと顔を上げ、胸の前で両手を合わせた。
「お願いだから、誰にも言わないでよ!」
「はいはい、分かってるよ、心配するなって」
「何ていうのかな・・・ あの子は・・・
命が綺麗で綺麗で・・・
その・・・ 天使みたいな・・・
だからオレの汚れた欲で・・・
あの子を汚すことは出来ないんだよ・・・」
「ほほぉ〜 天使ねぇ〜
人を好きになって、そして抱きたいと思う気持ちは、決して汚いもんじゃないだろ。
そのくらいあの子だった理解できるさ。
オマエが単独のSSランク任務に行ってる時に何度かあの子と組んだことあったけど、
もちろん、術のセンスには驚かされたが、何よりも心配りのちゃんと出来る子で、そっちの方でもびっくりしたぜ。
さすが、“白い牙”の子だと。
オマエが思ってるより、もう精神的には十分大人だろう」
「そっかな・・・
って、さすがオレの教え子って思ってよ!」
「ハハハ〜、どっちかというとオマエよりも大人かもな〜」
「ひどっ・・・」
「まぁ、焦ることはないな、時間をかけてもいいんじゃないか」
「うん、今はね、まだあの子に余計な事で悩ませたくないんだ。
オレの術を、もっともっと教えてあげたいしね。
そう・・・ 今は・・・ ただの師匠と弟子だけでいいんだよね・・・」
アイツは自分に言い聞かせるように呟いた。
「で、オレで我慢って訳か」
「感謝してます、シ〜カ〜ク」
そう言ってアイツはウインクしてニコリと笑った。
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2007/8/12