お願いだから・・・ 9
「ん! これでよしっと! うわぁ〜 可愛い〜! カカシにぴったり!」
四代目はカカシのネクタイを真っ直ぐに直し、カカシの後ろから鏡を覗き込んで満足げに笑った。
コンコンとノックする音がして、シカクといのいちとチョウザが入って来た。
「ヒュ〜」
と思わず、シカクが口笛を吹いた。
カカシのあまりの美しさに皆うっとりとして、言葉も出てこなかった。
いのいちが、四代目の胸にローズピンクの薔薇のブートニアを挿した。
「カカシには聞いてからと思って。
一応ブーケも用意してあるけど、どっちがいい?」 カカシは困って四代目の方を見た。
「カカシの好きな方でいいよ」
「じゃぁ、先生と同じのでお願いします」
いのいちは、カカシの胸にお揃いのブートニアを挿してあげた。
「こりゃぁ、見事な花嫁さんだな。 カカシ、カッコイイぞ!
ミナトの方は、その、何だな、孫にも衣装ってとこか」
「シカクったら、ひっど〜」
ハハハ〜と皆笑った。
「それじゃ、今日の式次第を伝えとくな」
テーブルの上に式次第の書いてある紙と席次表を広げた。
「まずは、新郎新婦の入場、それから、誓いの言葉、次に結婚証明書の巻物にサインしてもらってそれから誓いのキス。 お前ら、指輪の交換はするのか?」 「もちろん!」
四代目が嬉しそうに頷いた。
「じゃ、誓いの言葉の次が指輪の交換と」
シカクは式次第にさらさらと書き込んでいく。
「えぇぇ〜!?」
カカシは、結婚式と言っても、飲み会のようなもので、まさかこんなに本格的にするとは思ってもみなかった。
「ちっ、ちょっと、誓いのキスとか、指輪の交換って・・・
何もそんなことまで・・・」
カカシは顔を真っ赤にして、抗議した。
シカクは、にっこり笑って、
「みんなそれを楽しみに来るんだからな。
カカシ、四代目のためだぞ。
な〜に、あっという間のことだ、すぐに終わるさ」
と、パチリとウインクした。
四代目も、いのいちも、チョウザもにこにこ顔で微笑んでいる。
「ミナト、キスはちゅっとだぞ、舌まで入れるなよ」
と、真顔で言ういのいち。
「オレからのお祝いは大きなケーキだよ! もちろんケーキ入刀もするよね?
バレンタインだから、チョコレートケーキにしようか迷ったんだけどね。
やっぱミナトの好きなフルーツいっぱいの生クリームのケーキにしたよ!」
チョウザもまるで早く食べたいような顔で嬉しそうにカカシを見つめた。
「で、カカシがお口あ〜んでミナトに食べさせてやるんだぞ!」
と、シカクも楽しそうにカカシに言った。
「うん、いい! それ! カカシ、お願いね!」
カカシは、思わず頭を抱えて俯いた。
いったい何なんだこのノリは。 みんなオカシイだろ・・・
絶対この人達には勝てないとカカシは心から思った。
もう、ここまできたらまな板の上の鯉だ。
なるようになれとヤケクソな気持ちになってきた。
「はいはい、分かりました、何でもやらせていただきます。
すべては四代目のためですからね」
「わ〜 カカシィ〜 ありがとう!」
「乾杯の発声は三代目にお願いしてある。
それからどうしても、カカシに花束贈呈させろっていう煩いヤツがいるから・・・」
四代目は、式次第に書かれた名前を見て、ちょっと困ったような顔をした。
「それは・・・ いいよ。 気持ちは嬉しいけど。
っていうか、アイツにマイクなんか持たせたら大変なことになるし」 「だよな・・・ オレもそう思ってたんだけどな・・・
とにかく何が何でもって煩くて・・・
まぁ、適当にごまかすから、後でミナトから謝っておいてくれよ」
「それより、最後に花束贈呈もしたいな。
いのいち、花束って二つある?」
「そりゃ、ミナトとカカシの分二つ用意してあるけどな」
「じゃぁ、それを自来也と綱手様に。
ねっ、いいでしょ。 オレ達が貰うよりその方が絶対いいよ!」
「よし、分かった。
最後の挨拶は自来也様にお願いしてあったから丁度いいかも。
おう、大体こんな感じでいいよな。
七時半頃にはお開きにして、八時から人生色々で二次会だ。
こっちの方も、式に招待しきれなかった中忍達が大勢来るから大騒ぎになるぞ」
「シカク、いのいち、チョウザ、ありがとうね!
きっと最高の式になるよ。
カカシ、オレ達幸せ者だね」
そう言って、四代目はカカシを見つめ優しく微笑んだ。
「じゃぁ、受付に行ってる。
時間になったら呼びにくるからな」
三人は立ち上がり控え室から出て行った。
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2007/11/19