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お願いだから・・・   10
   

外はまだ冷たい風が吹いていたけれど、式場の周りはまるで別世界のようにここだけ暖かい空気に包まれていた。
何てったって木ノ葉隠れの里の火影様の結婚式なのだ。
会場の関係で百名程しか招待されなかったが、レストランの前には、一目だけでもいいから、火影様とカカシが見られるのではないかと期待して集まった中忍達がうろうろして中を覗いている。
 
開会の時間が近づき参加者が集まってきた。
皆、普段中々お目にかかれないような一張羅の服でドレスアップしている。
 
控え室では、カカシが緊張した面持ちで椅子に座っていた。
 
「カカシ、大丈夫? 何か飲む?」
「ううん、いい」
 
四代目は、そっと、カカシの手を握った。
 
「ごめんね・・・ カカシ・・・
オレのために・・・」
「そんな・・・ 先生が謝ることないよ・・・
みんな、先生に喜んでもらいたいだけなんだ。
オレだって・・・」
「バカみたいかな・・・」 
「先生、今日は楽しもうよ!
折角シカク隊長達が、先生のためにってしてくれたことだもの。
オレは、もう覚悟は決まってるから。 大丈夫だよ!」 
「カカシ、ありがとう。
じゃぁ、みんなにオレ達のラブラブなところ見せちゃおうね〜」
 
四代目はカカシのほっぺをつんつんと突いた.
 
コンコンとノックする音がしてドアが開き、いのいちが呼びに来た。
 
「そろそろ入場の時間だ」
 
四代目は、カカシの手を取り立ち上がった。
 
「カカシ、行くよ!」
 
まるで任務に行く時と同じような掛け声で四代目はカカシに声を掛けたが、それは、もちろん任務の時のような鋭い目ではなく、これ以上ないくらいの穏やかな微笑みで。
緊張して強張っていたカカシの顔も思わず緩んだ。
 
「はい、先生」
 
カカシも最高の微笑みで返事をし、先生の手をぎゅっと握り返した。
 
「新郎新婦の入場です。盛大な拍手でお迎えください」
 
シカクの声が会場内に轟き渡った。
扉がぱっと開き、音楽が流れ、ライトが二人を照らす。
 
「わぁ〜」という歓声。
「おめでとう」という掛け声。
「ヒュ〜 ヒュ〜」という音があちこちで鳴り響く。
 
大拍手の中、四代目とカカシはお辞儀をし、手を繋いで中央の席に向かってゆっくりと歩いて行く。
四代目は余裕の笑みで皆に会釈しながら歩いているが、カカシは頬をほんのりピンク色に染め、誰とも目線を合わせることが出来ずにぎこちなく歩いていた。
颯爽と歩く新郎四代目の何とカッコイイことか。
初々しい新婦カカシの何と美しいことか。
特にカカシの素顔はほとんどの人が十年ぶりに見たのだ。
皆の口から思わずほぉ〜っとため息が漏れ、誰もがお似合いの二人に見惚れていた。
 
こうして、四代目火影とカカシの華燭の宴が始まった。
 

                                                                               2007/11/20

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