お願いだから・・・ 13
楽しく和やかに進められた結婚式もいよいよ終わりの時間が近づいてきた。
「それでは、最後に、新郎新婦から花束贈呈があります。
自来也様、綱手様 どうぞ」
自来也は最後に挨拶をとだけしか頼まれてなかったし、綱手はもちろん何も聞かされていなかったのでびっくりしている。
二人は照れながら後方に並んだ。
四代目は自来也に、カカシは綱手に、大きな花束を贈呈した。
「自来也先生、オレを育ててくれてありがとう」
「綱手様、お世話になりました。ありがとうございました」
二人共、両親は亡くしているので、この二人が育ての親のようなものだった。
自来也は、下忍になる試験の鈴取りから、自来也班で修行や任務を共にしたことを思い出していた。
そして、四代目が螺旋丸をあみだし、びっくりさせられたことも。
綱手は、サクモが亡くなって、四代目がカカシを引きとって一緒に住み始めた頃のことを思い出していた。
高熱を出したカカシを抱き、真っ青な顔をして、夜中に綱手のところへ駆け込んで来たことも何度もあったっけ。
弟子から師匠へ。
言葉はなくても、思いは十分伝わっている。
その花束には感謝の思いがたくさん詰まっているのだ。
本当の親子ではないが、里の誰もがこの四人の深い絆を知っている。
四人が並んで立っている感動的なシーンに皆涙を抑えることが出来なかった。
「最後になりましたが自来也様、ご挨拶をお願いします」
自来也の前にマイクスタンドが置かれた。
「・・・」
(こりゃ・・・ まいったな・・・ ワシとしたことが・・・)
言葉が詰まって出てこない。
「あぁ・・・ 折角みんなを泣かせようと立派な挨拶を考えてきたんだがノォ・・・」
自来也はふぅと息を吐いた。
「ワシの言いたいことはもう分かっているだろう。
四代目火影を・・・
何があっても護っていく。
それが、木ノ葉隠れの里の忍だ!」 「おお〜!」
皆立ち上がり拳を高々と上げた。
会場にいる参加者の心がひとつになった瞬間だ。
「最後に万歳三唱でお開きとしますか。
波風ミナト、 万歳〜! はたけカカシ、 万歳〜!
木ノ葉の里、 万歳〜! 万歳〜! 万歳〜!」
大きな拍手がいつまでも鳴り止まず、あちこちで万歳の声も繰りかえし聞こえている。
いきなり、誰かが前に飛び出し、「四代目を胴上げしよう!」と言った。
あっという間に大勢に囲まれ、四代目の身体が宙に浮いた。
何度も何度も。
四代目の嬉しそうな顔を見て、カカシはまた涙が溢れた。
「ありがとう・・・ みんな・・・」
「よ〜し 次はカカシだ!」
「えっ?」
何が何だか分からないうちに、今度はカカシの身体も何度も宙を舞った。
こうして、世紀の結婚式は幕を閉じた。
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2007/11/26