鈴の音 2
雲隠れの里の雷影様に、綱手様からの親書を無事届けることが出来た。
帰り際、雷影様から、「折角来たんだから、飲んで行け」と言われ、 ダルイ君やオモイ君達に両側から腕を組まれ、危うく拉致られそうになった。 「雷影様、ありがたいお言葉をいただき誠に恐縮ですが、今日は、カカシの誕生日ですので、 これで失礼させていただきます」 と、きっぱり言いやがったんだよ! サスケは! もう、びっくりしたのなんのって、 なんてたって、相手はあの雷影様だよ? 「なら、丁度いい。皆で祝ってやる」 って、当然のように言われたし。 「誕生日は、家族だけで、(←妙に強調した言い方で)ゆっくり祝ってあげたいと思いますので」 サスケは、雷影様の目を真っ直ぐに見つめて、そう言ったんだ。 ええええええ 何それ?え?家族?どういう意味よ? もしかして、写輪眼持っているからって、オレもうちは一族の一員だと思わせようとしてるの? オレは、何か言わなくっちゃと思っているのだけど、 口がぱくぱくしているだけで、情けないことに、言葉らしい言葉が出てこなかった。 「え・・・あ、あの・・・サ、サスケ・・・?」 雷影様がじっと、サスケのことを見ている。 ヤバイ。 怖い。 このお方、キレルと机でも壁でも建物でも、何でもドガ〜ンって吹き飛ばしてしまうって噂聞いたことあるんですけど。 まさか、こんなところで、戦闘始まっちゃう? そんなのダメだよ、サスケ! 「いい度胸しているな、おまえ」 ほらあああああ サスケ、オレの誕生日なんてもうどうでもいいから、今日は、素直に杯を受けようよ、 と、言うつもりだったのに。 突然、雷影様がニヤリと笑った。 「わかった、では、日を改める。 この借りは必ず返してもらうからな。 こちらの指定した日にもう一度来るように。 カカシ、家族だけで、たっぷり祝ってもらえよ」 「ありがとうございます」 サスケが頭を下げたので、オレも慌てて、頭を下げた。 この二人は、命がけの戦いをし合ったと聞いた。 サスケが、里に帰って来れたのも、あの戦いがあったからこそで。 雷影様の忍としてはもちろん、人としての器の大きさを強く感じさせられた。 兄に対するサスケの秘めた思いが雷影様の心にも突き刺さる部分があったのだろうか。 ただ単に強さだけではなく、サスケの魅力に魅入られてしまったようだ。 ギリギリの戦いの果てに、互いに通じるものがあった。 二人の目を見ていると、多くの言葉は交わさなくても分かり合える、そんな何かが感じられた。 ま、その辺は、次回、お酒を飲みながらでも、聞いてみようかな。 それにしても、 サスケ。 おまえは、すごいよ。 こんなにも、 人を惹きつける。 「危ないとこだったな、こんな大事な日にあんなおっさん達と飲むなんて、ごめんだ」 「でも、また行かなくちゃならなくなったじゃないの」 「別に、今日じゃなけりゃあ、いつだって構わないんだ」 風を切って走るサスケの横顔がふわっとほころんだ。 こんな顔を見られるのは、オレだけ・・・ なのかな? 機嫌がいいサスケは、ものすごいスピードでびゅんびゅんと飛ばした。 オレも遅れないようにちゃんと付いて行く。 里に帰還して、綱手様へ報告に行った。 たぶん、一緒に飲むつもりで用意されていた一升瓶はそのまま綱手様へのお土産になってしまった。 雲隠れの銘酒で、綱手様もほくほく顔だった。 その上機嫌な顔を見て、すかさず、サスケが明日の有給申請をした。 本当は、今日で出していたのだが、雲隠れにはどうしてもサスケを行かせたかったからと、却下されていたのだ。 綱手様も、渋々許可した。 まぁ、もう、どんな意味だかは、バレバレなんだろうけど。 家に帰る途中で、サスケは、「食材を買いに行くから先に帰ってろ」と言って、さっと消えてしまった。 「何もしなくていいから、身体を休めておけ」 って、身体を休め・・・て・・・ え?それって・・・ もしかして・・・? 何?今晩も・・・? その先を予想して、何だか、身体の芯が熱くなってきた。 とりあえず、 部屋に戻っても、本当にすることもなかったので、 シャワーを浴びて、少し寝かせてもらうことにした。 さすがに、雲隠れまでの距離を日帰りってのは、ちと身体にキタかもしれない。 素直にサスケの言うことを聞いている自分に呆れる。 ベッドに入ったら、あっという間に、寝入ってしまった。 |
2009/9/19
雲隠れ忍は大好きなんで、ついつい出してしまいましたよ〜!
そして、もちろん、綱手様もお元気になられて、火影に復帰!
ダンゾウは、三日天下だったって、設定になってます。