鈴の音 4
その青い色の綺麗な箱は、
いわゆる・・・ そう、宝石とかが入っているようなもので。 映画やテレビで見たことはあるけど、本物を目の前で見るのは初めてだった。 ほら、いかにもっていうシチュで出てくるようなあれね・・・ 「○○さん、私の気持ちです。受け取ってくれますか?」 (給料の3ヶ月分の気持ちってどのくらいなんだろう?って、 子ども心にも不思議に思っていたあのシーン) 男の人が、この箱を女の人に渡して、 女の人がそれを開けて・・・ 「まぁ!嬉しいわ」 なんて、涙ぐむような・・・ 今、オレの掌に乗っているのも、 間違いなく、その箱そのものなんだよ! 「どうしたの?カカシ? さぁ、開けてみてよ!」 「う・・・ん・・・」 心臓がドキドキして、先生に聞こえやしないかと思うくらいだった。 オレは、ふうっと息を吐いて、呼吸を整えた。 ゆっくりとその箱を開くと・・・・ 中に入っていたものは、 鈴だったんだ。 「え?この鈴って・・・?」 「オレの一番の宝物だよ! ずっと、ずっと、カカシに貰ってもらいたいと思ってたんだよね〜 受け取ってくれる?」 べ、別に、そんな・・・ ね、指輪とか、 何考えてたの、オレ。 そんなものを期待していたわけじゃ・・・ ないんだけどさ・・・ いえ、本当はしてました。 「先生・・・ もしかして、あの時の・・・?」 「そうだよ。カカシの下忍昇格テストの時のね。 これは、元々、自来也先生から、オレが受け継いだものなんだ。 そして、オレは、これをカカシに受け継いでもらいたい。 いつか、カカシだって、上忍師として下忍を担当する時が来る。 この鈴には、自来也先生の火の意思も、オレの火の意思もいっぱい込められているんだよ」 「オレが・・・下忍担当なんか・・・出来るの・・・?」 三代目や先生のおかげで、以前に比べれば、父の名誉も回復されていたものの、 それでも、上層部や一部の大人達の中には、未だにあのことをよく思っていない人もいる訳で。 そんな“白い牙”の息子が、里の未来を担う下忍の担当に就かせてもらえるなんて、 正直、思ってもいなかった。 自分は、暗部の一人として、どこまでも裏の任務に徹して、火影を護ることが出来ればそれだけいい、 と、思っていた。 「あったりまえじゃ〜ん!カカシだったら、いい先生になれるよ!きっと! そうだ、オレの子どもの担当になってもらおうかな!うん、決まりだね! 今の内に、予約しておこうっと!ね〜カカシ先生!」 「先生・・・ありがとう・・・ オレ・・・嬉しいよ・・・」 見かけの箱の形から、一瞬でも妙な期待をした自分が恥ずかしくって。 でも、それ以上に、そんな大切なものをもらえたことが嬉しくって。 これから生まれてくる、まだ顔も見ていない先生の「子どもの担当になって」、 なんて言われても、全然ピンとこなかったけど。 それでも、そうなって欲しいって、先生が思ってくれていることが、 言葉に出来ない程、嬉しかったんだ。 オレは、そっと鈴を取り出して、目の前で揺らしてみた。 ちりん、ちりんと優しい鈴の音が真夜中の執務室に響いた。 涙が溢れて、溢れて、 止まらなかった。 先生はオレの頬に伝った涙をそっと拭って、 それから、ぎゅっと抱きしめてくれた。 「カカシ・・・お誕生日おめでとう」 **************************************** まさかそれが、先生からもらった最後の誕生日プレゼントになるとは、 その時は、もちろん、思ってもいなかった。 後から、考えてみると、 もうすでに、あの時、先生はこれから里へ降りかかるであろう災難を予感していて、 里を護る覚悟を決めていて。 そして、オレにあの鈴を託してくれたのかもしれないと思えた。 だから・・・ ただの鈴だったら、あんな宝石を入れるような立派な箱に入れなくてもいいのに。 どんな思いであの箱にあの鈴を入れてくれたのかと思うと、 オレの胸は張り裂けそうになった。 |
2009/10/1
四に、一度言わせてみたかったんですよね!「カカシ先生」って。
カカシは、夢の続きを見れたってことに、一応なるのかな。
明け方カカシが見た夢と、帰ってきてから見た夢の中で、四が見ている夢がリンクしているんです。
ややっこしいのですが、四とカカシが同じ夢を見たということです(笑)
鈴は、三代目も三忍達に使っていましたが、それは、この鈴とは別物ということで、ひとつお願いします。
自来也からの、鈴ってことで!