四代目火影と秘密の部屋    2
   

 

 「秘密の欲望部屋完成」 (ゆっち様より)


最近の火影様は機嫌がいい。
なんだか知らないけれどいつもにもまして緊張感がない。
頭から花が咲いているようだ。いやいやその花から甘い香りまで漂ってきそうだ。

最近、ヒソヒソと側近達の間でささやかれている話題であり、四代目火影という偉大な人物を貶める根も葉もない噂だと思うものも少なくはない。
だがそれは、残念ながら真実だった。

実際その通りで、四代目火影は満開の桜のごとし様相で妖しいオーラを振り撒きまくっているのだ。
ただ、仕事の態度は、人が変わったように真面目。
火影室から脱走することもなく、しかも書類の処理速度は倍速。
いくら様相が妖しくても、側近達は文句のつけようがなく、もっぱら原因はなんなのか??
とそちらの方が噂の主体となりつつある。

もちろんその理由は他でもない。
カカシとの甘い時間を確保するための素敵な計画が着々と実行に移され、準備が整いつつあったからだ。
三度の飯よりもカカシvvってな四代目はこの度めでたくカカシをゲットしたらしいのだが、それもこの秘密の小部屋でニャンニャンする為の前段階計画の一部であったことは言うまでもない。
流石四代目火影。
狙った獲物は確実に手中に収める為に持ちうる力の全てを注ぎ込んだらしい。
だから彼の計画は思いのほか順調に進んでいるのだ。

今日も火影室の椅子に座り、真っ赤な太陽を背に、真剣な面持ちでムフフな秘密部屋に意識を飛ばす四代目。
ふと思い返すカカシの可愛い姿。ニヤニヤと口元をほころばせながら心の中でも頭の上でも可愛いカカシを乱舞させ、四代目はヤル気満々で物品補充の申請書類にサインをしていた。

俺とカカシはまだ始まったばかり。
これからめくるめく愛の物語を奏でるんだ。あの部屋でvvv
たくさんの言葉とそしてたくさんの・・・ふふふvvv
まずはお仕事お〜しごと〜〜vv

「ええと・・・次は〜。何々?調教用鞭。」

むち。ムチ。鞭〜〜?
ん〜〜〜いいかもしれないけどね、鞭でビシッ!なんて痛いよね〜〜。
そんなことしたら、可愛いカカシが壊れちゃうよ。
いや・・まてよ?痛みも快感・・・ってこともあるかも???
でもま〜いますぐじゃなくたってね。カカシが望むならアイテムに追加ってことで。

『とりあえず現状維持。経過観察すべし。』・・・・っと。(カキカキ)


「次は〜〜。捕縛用縄、自決防止猿轡、忍専用手錠・・か。」

縄。そうだな〜それはいいアイテムだよね。今とりあえず用意してるのが赤だから、紫なんかもいいかもね。
よし!これは可。

『紫の縄のみ許可。他の色は却下。』(カキカキ)

「次は何?猿轡?」

猿轡かあ〜〜これはさあ、まあ心揺れないわけじゃないけれど、顔が隠れちゃうからね。
カカシの顔は見たいし唇から漏れる声なんかも聞き漏らしちゃダメだから。
却下かな。まあ〜でも・・・縄に猿轡。んふふふ〜〜ビジュアル的には見たいかも。
とりあえずOKだしとこうッかな〜〜〜。
 
『とりあえず許可。見た目重視。』(カキカキ)

「次は手錠。」

ああ〜これは一応用意したからね。俺好みの奴vvv

『必要なし。却下。在庫あり。』(カキカキ)

こうして、木の葉馬場2歳馬調教センターや、忍専用武器保管庫からの申請などなどありとあらゆる部署からのお願いはことごとく四代目の中で秘密の部屋備品へと変換され、到底常人には思いつかない判断のもとにすごいスピードでサインをされていく。


あまりに静かな火影室に疑問を抱き、チラっとその姿を盗み見た側近達だったが、キリッとした面持ちで時折口元に笑みを浮べながら、もくもくと書類に向き合う四代目の姿に瞬時に心を奪われ、見惚れてしまった。

『か・・カッコイイ!!』

騙されている。完全に。
しかし、悲しいかな四代目は誰もが見惚れる容姿端麗な姿なのだ。
そして、それは磁場のような力を発揮する。
可愛そうな側近達は今まさに磁場に捉えられ思考回路停止状態。

そうして邪魔されることなく奇妙な一言の添えられた書類はポンッと側近達に託された。
各担当者は首を捻ることになるだろうけれども、春爛漫オーラを振り撒く怪しすぎる火影様に進言する勇者はいないだろう。
誰もがよくわかっているのだ。
自分達はただの鉄の小さな玉で、所詮磁場にはかなわない。
磁場に捕らえてられている間はいいように転がされるが、はぐれることはない。
だが無理に自分から離れようとすれば大怪我をする。
そして磁場から離れてしまえば拾ってもらえるまで元の場所には戻れないのである。
困ることはたくさんあるし、迷惑だと思うこともしばしばだけれど、どうしても離れられないのである。
最強の磁力を持つ者には逆らう事は不可能なのだ。

こうして、数多のご迷惑をおかけしながらも、木の葉の忍の皆様からの真面目で貴重なご意見を参考にしたアイテムの数々は着々と秘密の小部屋に集められ、吟味された。
もういつでも入室可能。完璧な仕上がりだ。

「さあ、後はカカシと俺のとっておきの時間のために、カカシの任務を俺の予定に合わせるだけだ。
まあ、いつでもいいと思うけど。雰囲気が大事だし(意外にロマンチスト)、別に今日でもいいわけで。」

(モジモジ・・悶々・・・)

今朝送り出した愛しいカカシの顔と華奢な身体が脳裏をかすめる。
ふっと緊張を緩め溜息をつくと、お腹がグ〜〜〜ッと鳴った。

すぐにでも何かお腹に入れたいけれど、晩ご飯まで我慢する。先に食べたりしない。
シャワーも浴びたいけどそれも我慢する。
眠たいけど昼寝もなんとか我慢したし、もちろんこれからもしない。
楽しいことは全部カカシとする為に。
だから早く帰っておいで。
秘密の小部屋でゆっくりと疲れを癒してあげるからvv

ってカカシにしてみれば、疲れて帰って来たのに、そんな如何わしい部屋に連れ込まれたのでは、どう考えても癒されるとは思えないのだが、初めて恋した純情可憐(自己申告)で一直線な四代目は愛情表現(愛を伝え分かち合うための様々な行為)こそが相手を癒すと頑なに信じていたのだった。




                                                           2010/8/1

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