秘密の部屋、とりあえず15禁 (無月の浪 トモ様)
「…あ…っ」
思わずヘンな声が出た。
「ちょっ…、せんせ、耳に息吹きかけるの、やめ…て…っ!」
頬を桃色に染めたカカシが耳を押さえて飛び退る。
部屋の空気が一瞬のうちに澱んで、生々しいピンクの湿気に包まれた。
常道ながら耳狙いはアタリだったねと、ニンマリ微笑む四代目。
そう、この男、なにはともあれ一応は火影にまで登りつめた実力者。
諜報から戦闘・暗殺はもちろんのこと色事に至るまで、技量と手管に抜かりはなかった。
四代目は素早く片腕を伸ばすとカカシの腰をがっちり抱えこむ。
そして
「ココ、感じるんだ…?」
もう片方の耳にわざと低く囁けば
「せんせ…っ…!」
カカシが腕の中で、恥らうように身を捩った。
「…フ、かわいい」
調子にのった四代目はそのままパクリと耳朶を食んで、カカシの腰から項までソロソロ掌を這わせる。
「ッ…、ダメ…っ」
「…どうして。気持ちいいだろ?」
四代目は這わせた掌でカカシの後頭部を固定すると、
もう片方の掌で背中と脇腹をサワサワサワサワ好き勝手に撫で回し…。
「…ふ…ぅ、…せん…せ」
やがてカカシの身体の強張りが程よく解けはじめた頃合を見計らって、
四代目は耳朶を弄んでいた唇を首筋へと滑らせ…。
時折カカシの白い肌に強く吸い付いては、そこに赤い花びらを刻んだ。
「あ…、や…だ…」
微妙な性感帯を掠められるたびに、カカシは拘束から逃れようと両腕を突っ張って抵抗する。
首をイヤイヤと左右に振って、拒絶の意志を懸命に伝える。
このまま先生に突っ走られたらどうなることか。
…そう、カカシだってとりあえず四代目を止めようとがんばってはみたのだ。
けれど。
カカシの可愛らしい抵抗にあった四代目は、昂ぶる欲望を刺激され、
狼の本性をすっかりと剥き出しにしてしまっていた。
中途半端な抵抗は、すればするほど却って男心を煽ってしまうのだという普遍の真理を、
カカシは知らなかったのだ…。
「今夜は逃さないよ…?」
勢いづいた四代目はすっかりとその気になって、
夜の貴公子然とした誘惑の微笑みを遺憾なく撒き散らす。
「カカシ…」
思い通りに抵抗できないカカシの唇に、柔らかく自分の唇を触れ合わせれば、
熱く甘いその感触に四代目の腰は早くも疼く。
無理やり抉じ開けて侵入したカカシの口内は、想像以上に魅惑的な味わいだった。
四代目は夢中になって逃げ惑うカカシの舌をちゅくちゅくと吸い、舌先で撫で上げる。
「んっ、…は…っ、せん…せ……」
いつの間にか、カカシの声も色に濡れて掠れ…。
ヨシ!今だね!
四代目は一端唇を離すとカカシに会心の足払いをかけ、自分ごとベッドへ倒れこんだ。
「あ…!」
カカシは両目を硬くつぶって首を竦め、弱々しく四代目の胸を押し返した。
けれど四代目が本気になって圧し掛かれば、この程度の抵抗なんぞあって無きが如し。
「天国を見せてあげる…v」
お笑いスレスレの気障なセリフも、自分が美形スキルを発揮して口にすれば、一世一代の濡れ場の序章にだってなる…
と信じて疑わない四代目は、スーパーウルトラハイパーアルティメットシークレットラブラブルームを堪能するために、張り切って大型リモコンのスイッチを入れたのだった。
部屋の照明が暗くなり、ところどころの壁や天井を間接照明が赤紫に染める。
アヤシイ香がもくもくもく…と煙をあげ始め、チュルリラ〜ルルル〜パヤッパァ〜♪と音楽が珍妙なハーモニーを奏で始める。
そして。
天井からスルスル姿を現したでっかいミラーボールが、キランキランと動き出したかと思うと二人を乗せた「かかちぐるぐる」(注・ベッドの愛称)も、間髪入れずにぎゅわわわわん…と回り出して。
「わ。な…に…?」
あまりといえばあまりのこのセンスに怯んだのか、カカシは四代目の両肩に縋りつくと落ち着きなく辺りを警戒したのだが。
…自分を照らしているこの薄桃色のピンスポットはいったいなんなんだろう?
現実逃避したいカカシの一番の関心事は、とりあえずそこだった。
ふっふっふ。
カカシ。君はもう、この秘密の部屋の虜なんだね…。
だけど、こんな仕掛けなんかまだまだ序の口なんだよ?
君のために用意したものは、ほかにもたくさんあるんだ。
ホラ、まずはコレ。
「…カカシ。最高に綺麗な君を、すべて記録してあげるから」
君の媚態をあますところなくバッチリとね。
四代目はもう一度大型リモコンを手にすると、ピッピッピと弾む心地で操作した。
すると…。
カカシの上下左右、そして前から後ろから、高性能レンズがいくつもにょっきり顔を出してカカシに焦点を合わせたのだった…。